●警備業界に基準法は存在しない ①



「社会保険に加入してくれない…。」
「有休休暇を取らせてもらえない…。」

ハ、ハ、ハ、
残業分は支払ってくれるのでしょう?
最低賃金以上の額なのでしょう?
それなら「上等、上等」。

この業界では「基準法違反」が当たり前。

基準法違反は「やった者勝ち」。
監督署に指摘されたら「その時から」守ればよい。
過去の違反は追及されない。

監督署は「そこで働いている者,働いていた者」の違反申告がなければ動かない。
それ以外の者が違反情報を知らせても動かない。

この業界で「基準法を持ち出したら」干されてしまう。
「きつい現場に回される」、「仕事を与えてもらえない」。
結局は「辞めなければならない」。
監督署に違法申告をする者なんているはずがない。

この業界に労働基準法は存在しないのです。

えっ?
「業務の発注者が基準法違反に文句を言ってくる」ですって?

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」のことですね。
国の「ビジネスと人権に関する行動計画」のことですね。

「企業はその製品が作られる過程で人権侵害がないように配慮しなければならない」という「社会的責任」ですね。
どこかの芸能事務所の人権侵害で注目されているアレですね。

そんな「社会的責任」にビクビクするのは「世間体を気にする」大企業だけ。
自ら率先してやらなければならない地方公共団体すら全く気にしていませんから。
落札価格が高くなるので、発注した業務の違法労働は見て見ぬふり。

それでは開始しましょう。
まずは「警備業界の実態」から。

1.警備業界の実態

a.警備会社の9割が零細企業

全国の警備業者は10524 。

警備員数100名未満の警備業者数が9495業者で90.2%。
警備員数30人未満の警備業者数が7081業者で67.2%。

警備員は殆どがパート労働者。
月に2~3日しか働かない者やイベントの時だけに駆り出される者もいる。
だから、「警備員数100名」といっても企業規模は「幕下前の三段目」。
「警備員数30名」なら「ほんの序の口」。

つまり、警備業者の90%が零細企業なのです。

※2022年資料

b.なぜ零細企業が多いか

これは警備業の開業が簡単で費用がかからないからです。

開業に必要なのは指導教育責任者資格と認定料の2万3千円だけ。
指導教育責任者資格は警備員として3年働けば取ることができる。
6日間の講習の最終日に択一試験。80点で合格。
「更新なし」の生涯資格。

制服や装備品は「当面の警備員の数」だけ。

事務所は自分の部屋で。
ケイタイがあれば事務員不要。

警備業は認定制。
いくつかの条件を満たさなければ認可されない。
しかし、暴力団関係者でなく刑務所を出てから5年経っていれば問題なし。
「普通の人」なら認可されます。 → 警備業者になれない人

このように警備員を3年やれば警備業が簡単に開業できるのです。

開業すれば仕事を受注することができます。
※警備業者として認定を受けていないと「お金をもらって」警備業務を受注できません。 ( 警備業法4条 )

警備員を雇う必要はありません。自分が警備員として働けば済みます。

もう、安い時間給でこき使われることはありません。
もう、「キツイ仕事」や「遠い現場」をやらされることはありません。

だから、零細警備会社が多いのです。

c.なぜ基準法が守られないのか

警備業務のほとんどは「大掛かりな機械や特殊な技術」を使うことはありません。
「普通の人」なら問題なくやれます。
発注者から見れば「どこの警備会社の警備員も同じ」です。

それなら安い方がよい。
仕事を受注できるかどうかは「値段」で決まります。

零細警備業者は「その値段では採算が取れない」仕事にでも群がります。
そうしないと、自分と雇っている警備員が生きていけないからです。
もちろん「マイナス分」は警備員に押し付けます。

警備員は文句を言いません。
「文句を言えばクビになる」ことを知っているからです。
そして、「この仕事を失えば生きていくことができない」ことを知っているからです。

全国の警備員は58万2114人。
このうち60歳以上が26万8260名で46 %
「60歳超え,70歳超えで雇ってくれるのは警備会社だけ」なのです。

ここに「違法労働前提の安値競争」が始まるのです。
そして、「違法労働が当たり前」になっているのです。

警備業者の肩を持てば
「基準法を守りたくても守れない」ともいえるのですが…。



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