間違いだらけの宿直業務

★★作成中★★



※本稿から文体を「ですます体」から「である体」に変更。

1年ぶりに「津市公共調達」である総合支所の宿直警備業務を受注。
業務引継ぎでいつも驚くのは「警備員が入口に向かってじっと座っている」こと。

これでは断続的労働にならない。
当然、監督署の「断続的労働の適用除外許可」が下りず違法労働となる。
さらに驚くのは職員も警備員も「それが当たり前のこと」だと思っていること。

津市の仕様書には「この宿直業務が断続的労働である」とが明記されているが、
現場では「断続的労働とかけ離れた違法労働業務」が求められ行われているのだ。
「長年にわたり断続的労働適用除外許可と無関係だったから」だろう。
津市自身も断続的労働について正しく理解していないフシも見受けられる。

総合支所の宿直業務を受注しているor受注しようとしている警備会社と配置される警備員は、
そして、総合支所の職員は「断続的労働とは何なのか」をしっかりと理解しなければならない。
また、津市役所契約調達課の職員は「現場で求められている具体的業務が断続的労働の範囲内のものであるかどうか」をチェックしなければならない。

そうしないと津市発注の総合支所宿直警備業務で違法労働が常態となり、
津市自身が津市公契約条例で定める発注者としての責務を果たしていないことになるだけでなく、
津市自身が公契約条例の趣旨に反し、その目的達成を妨害していることになる。

「入口に面した机を離れて休憩室で新聞を読んでいる警備員」に怪訝な視線を送っていく職員さん?
あなたの求めているのは違法労働なのですよ!

  • 断続的労働の初歩の初歩
  • 2024年度許可申請と問題となった点
  • 断続的労働として問題となる具体的労働内容
  • 行政は行政を指導しない。官製違法労働が堂々と!

1.断続的労働の初歩の初歩

a.実労働と手待ち時間が交互に繰り返される労働

断続的労働とは「実労働 → 手待ち時間 → 実労働 → 手待ち時間」が繰り返される労働態様。

実労働には「予め定められた業務」と「いつ起こるか、起こるかどうか分からない業務」を含む。

前者には定時的な巡回や閉場・開場業務。
後者には「電話取次ぎ,道路障害情報の担当者への連絡,施設鍵授受,郵便物受取,緊急事態対応」など様々なものがある。

手待ち時間は何をしていても自由。
読書,テレビ,飲食,横になる,などなど。
但し、「いつ起こるか、起こるかどうか分からない業務」に対応できなければならない。
そのため警備室を離れることはできないし睡眠もできない。
( 睡眠は「仮眠可能時間帯」として一定時間が確保されている。 )
また、「警備業務遂行中」のイメージを崩すこともできないので私服に着替えることはできない。
賃金は実労働を100%評価、手待ち時間を60%評価として計算。

なお、1名配置の場合「休憩」は存在しない。
「いつ起こるか、起こるかどうか分からない業務」に対応しなければならないから。
仮眠時間も休憩ではなく「手待ち時間として60 % 評価」となる。

断続的労働では拘束時間は長いが実労働時間が短いので平均すると労働強度が低くなる。
そこで、この種の業務については労働基準法の労働時間の制限を外すことができる。
具体的には「1日8時間労働」,「1週40時間労働」,「6時間超えでの休憩」が外される。
36協定による適用除外のように時間数に制限はない。

もちろん、そのためには労働基準監督署の「適用除外許可」が必要。
監督署は「その業務について基準法の労働時間制限を外してよいかどうか」を細かく調べて許可。
許可は業務内容が変わらない限り「無期限」。

b.実労働は身体的疲労や精神的緊張の少ないものに限る

断続的労働では労働時間や休憩時間の制限が外されるので、
その実労働が身体的疲労や精神的緊張の少ないものでなければならない。

例えば次の業務は「実労働と手待ち時間が繰り返されても」断続的労働とはならない。
・消防隊員や救急隊員,警察官の交番勤務や当直。
・高圧電線不良検出・対応
・タクシー運転手 ( 役員専属のお抱え運転手はOK )
・当直医師・看護師 ( 寄宿舎で寄宿生が医師にかかるまでの簡単な処置をする看護師はOK )
・鉄道踏切番は1日に10往復までOK。
※問題となった各事案については解釈総覧参照。

断続的労働と同じく基準法の労働時間制限が除外されるものに「監視業務」がある。
ここでもその監視業務が「精神的負担や肉体的負担の少ない場合」にしか適用除外が認められない。

解釈総覧には許可されない業務として次のようなものが挙げられている。
・立哨により行う場合
・必要により身体検査,所持品検査を行う場合
・料金徴収や車両誘導を伴う駐車場監視業務,
・ずっとテレビモニターを見ている場合
・異状事態発生時の対応に高度な技術や判断が必要な場合
・監視場所が危険や有害である場合。
これらは「肉艇的負担や精神的負担が少なくない場合」となる。

手待ち時間のない監視業務と手待ち時間のある断続的労働を同じに論ずることはできないが、
「労働による精神的負担や肉体的負担が少ないので基準法の労働時間制限を外す」ことは共通。
断続的労働の実労働についても「精神的負担や肉体的負担の少ないもの」と考えるべきだろう。
この点から総合支所の業務内容に「問題となるもの」があるので後述。

c.警備員のする断続的労働の許可基準

断続的労働に該るかどうか ( 適用除外許可が与えられるかどうか ) は
具体的業務について個別に判断される。
但し、警備員が行う場合は一般の労働者が行う場合より許可基準が厳しくなっている。
その理由は
・警備業務が警備業法の規制の下で行われるものであること。
・警備員の責めにより業務上損害を与えた場合は賠償責任を負わされること。
・そのため、警備員が業務を行う場合に通常の労働者が行う場合より精神的負担がかかること。

具体的には次のように定められている。

①業務内容
いわゆる「宿日直業務の代行」として行われる業務であること。
すなわち、
原則として、「常態としてほとんど労働する必要のない勤務」で
定時的巡視、施錠及び開錠、緊急の文書又は電話の収受、不意の来訪者への対応、非常事態発生の対応などを業務内容とするものであること。

②巡視については次の要件を満たさなければならない
a.巡視による精神的緊張の少ないこと
・警備対象が広い場合 ( 空港,コンビナート,遊園地など ) は不可。
・その施設が構造上外部からの侵入を防げないものである場合は不可。
・高価な物品が展示・保管されている場合は不可。
b.巡視する場所が危険でなく環境条件が有害でないこと。
c.巡視回数は6回以下、1巡視は60分以内、合計は4時間以内

③拘束時間
・12時間以下 ( 睡眠時間なし )
・16時間以下 ( 夜間に継続して4時間以上の睡眠時間が与えられる場合 )

④休息期間 ( 勤務と勤務の間隔 )
・10時間以上 ( 勤務中睡眠時間なし )
・8時間以上 ( 勤務中の夜間に継続して4時間以上の睡眠 )

⑤隔日勤務の場合
・拘束時間:24時間以下(勤務中の夜間に継続して4時間以上の睡眠 )
・巡視:10回以下,1巡視1時間以内、合計6時間以内
・休息期間:20時間以上

⑥休日
・1か月に2日以上の休日が必要。
・休日は休息期間に続けて24時間を与える。

⑦勤務施設・勤務期間
・1施設 ( 2施設の掛け持ちは不可。臨時の場合は可 ) 。
・1か月程度勤務を継続させること。 ( 契約期間が1か月未満の場合はその契約期間全て )

⑧睡眠を与える場合の設備
・十分な睡眠が確保できる設備と寝具が必要

津市総合支所警備業務調達仕様書の「業務時間」の項目にある
「当該業務は、原則として、常態としてほとんど労働する必要がなく、定期的巡視、施錠及び開錠、緊急の文書または電話の授受、不意の来訪者への対応、非常事態発生の対応等を行うものであり、夜間には継続4時間以上の睡眠が可能であることから、業務時間全てが労働時間ではない。」の記載はこの「コピペ」だろう。

( この条件に適合するシフトの例 )

平日17:15~翌8:30 ( 15.25時間 ) 、休日8:30~翌8:30 ( 24時間 ) の場合
・夜間に継続して4時間以上の睡眠がとれることが必要 。
( 睡眠なしなら拘束12時間以内なので1勤務につき2名必要。 )
・平日勤務の連勤可能 ( 休息期間は8:30~17:15の9時間15分で8時間以上となる )
・休日 ( 24時間 ) 勤務をさせるには隔日勤務が必要で連勤は不可。

●通常シフト:2名で隔日勤務をさせ、月に2度「休息期間に続けて1日の休日」を与える。

・月,水,金,日,火,木,土の隔日勤務で月に2回「勤務日のどれかを休日」とする。
・月,水,,日,火,木,土,月,水,,日,火,木,土 ( 2週に一度金曜日を休日にする )

・もう一人も同じように休日 ( 金曜日 ) を与えると「毎週金曜日だけ出勤する者」が必要となる。

・適用除外許可では隔日勤務2名と休日の代替要員1名の合計3名で申請する。

当方は2024年度の申請でこのシフトを選んだ。

●月~金を1名で連勤させる場合

・月~金を1名が連勤。
・祭日は24時間勤務で24時間勤務は「隔日勤務に限る」から祭日勤務は不可。
・月に2回の休日は「毎週土日出勤なし」なのでクリアーできる。

・祭日と土日の24時間勤務を行う2名が別に必要
・24時間を12時間でつなぐか、隔日勤務を行わせる。
↓。
・この場合も3名必要になる。

( 1勤務6時間以内でつなげば許可不要 )

断続的労働の適用除外許可が必要になるのは基準法の労働時間制限に抵触する場合。
勤務が時間制限内なら適用除外許可不要なので「断続的労働に該るかどうかの基準」は関係ない。

例えば15時間15分の平日勤務を「6時間+6時間+3時間15分」の3名でつなげたり、
休日の24時間を「6時間×4名」でつなげたりするの場合は断続的労働の適用除外許可は不要。

適用除外許可不要なら許可基準の「巡視場所,巡視環境,睡眠,休息期間,休日など」も関係なし。
勤務場所が劣悪な環境であろうと、精神的肉体的負担が大きくとも、睡眠を与えなくても問題なし。
もちろん、他の業務もやらせる場合には36協定の範囲内であることが必要。



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