続「連続した4時間の睡眠を害する業務」

「適用除外許可の再申請」という方法。



津市調達契約課への要望
支所と水道事業所の回答と検証

労働基準監督署の態度
公務員職権乱用罪の適用
津市調達契約課の調整

3.労働基準監督署の態度

a.監督署は契約内容に関知しない

「契約内容の解釈」について当方と支所の意見が対立したので
業務委託契約を総括する津市調達契約課に調整を依頼することにした。

その前に「この適用除外許可を審査し許可を与えた津労働基準監督署の監督官」に「水道事業所職員の深夜出入りが適用除外許可の要件に反するかどうか」の意見を聞くことにした。
私は経緯を説明した文書,水道事業所職員の深夜出入りの記録,仕様書などの資料を持って監督署に出むいた。

私はこの監督官に嫌われている。
私もこの監督官が好きではないが、今回の事情を一番よく知っているので仕方がない。
彼は私を見るなり「ヤレヤレ、やって来たか…。」と受付窓口のところに。

●監督署は裁判所でないので契約内容の違法性は判断しない

私『■■支所の業務について違法労働の可能性があります。
監督署の意見を聞きたいので相談を予約したいのですが。』

監『相談?監督署は裁判所ではないので契約の内容については判断しませんよ。
違法労働って何のことですか?』

私『支所の庁舎に同居する水道事業所の職員が深夜出入りをして適用除外許可の要件である「夜間の連続した4時間睡眠」が害されるのです。』

監『それは頻度によるでしょう。「深夜出入りをする」ということだけでは判断できませんよ。』

私『こちらが実際にあった深夜出入りの記録です。』

監督官は私の取り出した資料をチラッと見てこう言った。

監『とにかく、それが違法労働になるかどうかは契約相手である■■支所と話をしてください。
監督署はあなたたちの契約が合法か違法なのかを判断しません。
そんなことを監督署に持ち込まれては困ります。』

●適用除外許可審査のときはそんな業務はなかった

私『では一つだけ教えてください。
「夜間の4時間睡眠が確保できなければ」適用除外許可は出ないのですよネェ?』

監『何ですか、さっきからの「夜間の4時間睡眠」というのは。』

私『厚生労働省の適用除外許可要件の中にある
「12時間以上の勤務の場合には夜間に連続した4時間以上の睡眠を確保する」のことです。』

監『確かにそれは適用除外許可の要件の一つです。
しかし、適用除外許可審査のときにアナタは「そんな業務がある」とは言いませんでしたよネ!』

私『もらろん言いませんでした。
なぜなら、許可審査の時はそんな業務は実際になかったし、
審査資料として提出した仕様書にもそんな業務は含まれていませんでしたから。』

監『それなら契約内容の変更じゃないですか!
それはアナタと■■支所の問題なので支所と話し合ってください。
とにかく、適用除外許可を審査したときに「その業務について」あなたは何も言いませんでしたよネ!』

●適用除外許可を与えた業務が変更・追加され労働者が不利になれば違法労働となる

私『では現時点で水道事業所の深夜出入りにより「夜間の4時間睡眠ができなければ」違法労働になるのですか?』

監『そのことだけを判断することはできません。
はっきりしていることは「適用除外許可審査のときはそんな業務は含まれてなかったので、その業務は現在の適用除外許可の範囲外のものになり、その業務によって労働者の負担が増えれば違法労働になる」ということです。
現在雇用している労働者には「きっぱり断るように指示」してください。
そうしないと、アナタが労働基準法違反で罰せられることになりますよ。』

●監督署は「許可審査や具体的な事件において違法性を判断する」

雇用者が「こんな仕事があるのですが労働者にやらせても違法労働にはなりませんか?」などと監督署に相談に行っても相手にしてくれない。

監督署がその労働の違法性を判断するのは、
「その仕事について許可申請がされたとき」または「その仕事を行っている労働者が違法労働を申告したとき」。
つまり具体的な許可審査や労使間の争いがあるとき。

これは裁判所でも同じ。

裁判所が法律の解釈を行い「違法性・合法性を判断する」のは「具体的な事件や訴訟」においてだけ。

例えば、
「契約内容にない業務を行わせた」と公務員職権乱用罪で告訴したり、不法行為で損害賠償請求をしたりすれば、裁判所はそれが契約内容に含まれるかどうか、それが違法かどうかを判断する。

具体的な事件や訴訟がないのに「契約内容や違法性の判断」を行うことはしない。
裁判所は「法律相談所」ではないからである。

b.監督署に「契約内容の違法性」を判断させる方法

結局「水道事業所職員の深夜出入りや支所職員の深夜残留に警備員が対応すること」について
・支所は「仕様書の範囲内の業務であり違法性はない。」
・水道事業所は「警備業者と契約関係にないから関係ない。」
・監督署は「それを警備員にやらせればアナタが基準法違反で罰せられる。」

ここで問題は二つある。
①その業務が契約の内容に含まれるかどうか
②その業務が契約の内容に含まれる場合、その業務が適用除外許可の要件に反して違法であるかどうか

①を解決してくれるのが裁判所。
公務員職権乱用罪での告訴(次項)、契約違反による損害賠償請求、不法行為による損害賠償請求をすれば裁判所が判断してくれる。

②を解決してくれるのが監督署。
その業務を含めて適用除外許可を申請すればよい。
監督署はその許可審査のときに「その業務が適用除外許可の要件に反するかどうか」を判断する。
監督署は適用除外許可を出さない場合その理由を説明しなければならないので「その業務が違法労働かどうか」がはっきりする。

この業務が断続的労働では認められないものであれば、
津市はこの業務を宿直業務から外さなければならなくなる。

ついでに、精神的負担の大きい戸籍届受理手続きや道路障害通報対応について「その業務内容を詳しく」説明して許可申請をしよう。

監督署は許可審査においてこれら業務が適用除外許可の要件である「精神的負担の大きい業務であるかどうか」を判断しなければならなくなる。

戸籍届受理手続きや道路障害通報対応は全国の市町村で警備員宿直業務として広く行われている。
もし、「これらが断続的労働の許可する業務に含まれない」とするなら全国の市町村は警備員の宿直業務からからこの業務を外さなければならない。

逆に、「これらが断続的労働の許可する業務に含まれる」とするなら「精神的負担の多い業務について適用除外許可を与えない」という厚生労働省の要件に矛盾する。
厚生労働省は「精神的負担の大きい業務」について新しい基準を示さなければならなくなる。

どちらにせよ監督署の判断は社会の注目を浴びることになる。
その許可審査を担当する監督官は仕事冥利につきるというもの。
今度は当方に感謝してもらえるだろう。

もっとも「これら業務」については「暗黙のアンタッチャブル」なのかもしれない。

全国の市町村で宿直警備員に戸籍届受理や道路障害通報対応をさせられなくなったら困るから。
特に戸籍届受理は。
そういえば、許可審査のときに「戸籍届受理の内容」について聞かれたことはない。
「戸籍届受理を郵便物受取のように思っているのでは?」と感じるように「スルー」。
「そのまますんなり,気づかないふり」かも。

もしそうであれば「法の下の不平等」。
行政同士の忖度は許されない。
誰かがそのきっかけを作らなければならないだろう。

本件については「津市調達契約課の調整」がまだ残っている。
しかし、「許可の再申請」の方が手っ取り早く効果的な方法かもしれない。

『再申請のときは、またお世話になります!』

c.その後の「深夜出入り」と「障害自動電話」

■■支所の文書回答のあと水道事業所の深夜出入りは一度あっただけ。
それは「0時過ぎに出入りしただけ」で問題ないもの。

今まで「金曜夜~土曜未明」に行われていた作業は「土曜日の日中」に行われているようだ。
作業立会職員の深夜出入りはなくなった。

なぜか、水道作業所の障害情報自動電話は夜間に「ピタリ」と鳴らなくなった。

庁舎職員も22時前には必ず退出する。

最近では「夜間の連続した4時間睡眠」は全く害されていない。

しかし、これで問題が解決したわけではない。

■■支所が「予定できない突発的業務」という出所不明の文言を持ち出し、
仕様書に記載されいてない業務を「仕様書の範囲内である」と契約内容をねじ曲げていることはそのままである。

しかも「契約内容に含まれれば違法ではない」という時代錯誤の法的感覚しか持ち合わせていない。
そして、平然と受注者に「義務無き業務」を行わせてきた。

現在の平穏は当方がこの現場にいる限りのものだろう。

彼らが「自分たちのねじ曲げ解釈を正し」、彼らに「公務員としてその責任を取らせる」までは問題が解決したとは言えないのである。



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