「監督署は動かない、市町村はやりたい放題」に対処する方法は?
1.断続的労働の適用除外許の基礎知識
2.断続的労働の適用除外許可の申請から許可まで
3.最低賃金の減額許可の申請から許可まで
4.断続的労働の適用除外許可の範囲を超えた違法労働業務①
5.断続的労働の適用所が許可の範囲を超えた違法労働業務②
6.「警備員はフリーパスの小間使い」の意識改革から
7.津市発注の警備員宿直業務のこれから
7.津市発注の宿直業務のこれから
以上述べたように津市発注の宿直業務では次の点で違法労働が問題となる。
・断続的労働として許可されない「精神的負担の大きい業務」が含まれている。
・実際の業務には許可要件の「夜間の4時間以上の睡眠の確保」を害する業務が含まれている。
これらは今後どうなっていくのだろうか?
長年やられてきたように、「これから先も何の問題もなくやられていく」のだろうか?
現場の警備員は「違法労働を受け入れるしかない」のだろうか?
この点を考えてみよう。
a.津市に自浄能力はない
津市は調達価格を下げるために次のことを行っている。
・「最低落札価格なし」・「毎年入札」で安売り競争をさせる。
・「津市は受注者の無許可違法労働に関知しない」と公言して違法労働を黙認。
・予定価格自体を独占禁止法の禁ずる「コスト割れ価格」としている。
津市は、
①最低落札価格なしの安売り競争が津市公契約条例の趣旨に反することはもちろん、
受注者の違法労働に関知しないのは津市公契約条例の津市の責務に反する。
( 津市公契約条例は責任逃れ②,津市長への公開質問 )
②国連のビジネスと人権に関する指導原則から「津市は受注者の無許可違法労働の責任を負う」。
( 「国連のビジネスと人権に関する指導原則」に逆行する津市 )
③予定価格自体が「コスト割れ価格」になっているので、津市が「受注者に独占禁止法違反の不当廉売をさせる」ことになる。 ( 津市業務調達と独占禁止法違反 )
④仕様書 ( 契約内容 ) に「断続的労働では許可されない精神的負担の大きい業務を含めている」ので、津市が「受注者に基準法違反の違法労働をさせる」ことになる。 ( 本稿 )
①と②では犯罪成立の問題は生じないが行政上の責任問題が生じる。
③と④では津市自身の犯罪成立が問題となる。
津市がこれらに気付いて ( 気付かないふりを止めて )
「津市発注の業務から違法労働をなくそう」とすれば問題は簡単に解決する。
しかし、津市のやっているのは
A4の「労働者の皆様へ津市公契約条例に関するお知らせ」1枚を受注者に掲示させるだけ。
あくまで「私もやっていますよ」という恰好だけ。
本心は「受注者の違法労働は受注者の責任で津市には関係ない。
そうしないと落札価格を低く抑えられない。」
さすがに予定価格だけは今年から10万円くらい上げてきた。
「予定価格が独占禁止法の禁止するコスト割れになっている」という指摘が効いたのだろうか。
津市の契約調達課も津市長も「見て見ぬふり、聞いて聞こえぬふり。そのうち収まるだろう。」
津市行政を糺すべき市会議員は動かない。
「落札価格が高くなって税金の無駄遣いをした」と言われるのが怖いからか?
労働問題は荷が重すぎるからか?
このように津市に自浄能力はない。
頭を挿げ替えなければ「津市が宿直業務から違法労働をなくする」ことはない。
b.監督署は動かない
「津市が発注業務の違法労働を見て見ぬふり」でも労働基準監督署が動くだろう。
監督署は基準法を守らせる砦ではないのか?
そのために基準法違反行為に対して捜査権や訴追権が与えられているのではないのか?
しかし、監督署が積極的に動くことはない。
イ.労働基準法違反は犯罪
労働基準法には罰則がある。 → こちら
労働時間に関するものには
・労働時間は8時間/日,40時間/週(労基法32条)
・労働時間の途中に「45分/6時間超え・60分/8時間超え」の休憩(労基法34条)
・これに反する労働契約は無効。契約は労基法の基準に引き上げられる(労基法13条)
・使用者に罰則・6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(労基法119条)
そこで、
断続的労働の適用除外許可を得ずに1日に8時間以上の労働をさせた場合、週に40時間以上働かせた場合、途中に休憩を与えないで6時間以上働かせた場合は「使用者に6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられる。
断続的労働の適用除外許可の範囲外の業務をさせた場合も同じである。
( ただし、36協定の範囲内であれば罰せられない。 )
これは殺人や傷害と同じく刑法犯なので
刑法総則の間接正犯や共同正犯,教唆犯,幇助犯の規定が適用される。
そのため、「断続的労働の適用除外許可を得ないで、許可は得たけれどその範囲を範囲を超える業務をさせた」使用者に労働基準法違反の罰則が与えられるだけではない。
使用者が違法労働をするように仕向けた者 ( 間接正犯 ) ,使用者と一緒になって違法労働を行った者 ( 共同正犯,共謀共同正犯 ) ,使用者に違法労働を唆した者 ( 教唆犯 ) ,使用者の違法労働をしやすくした者 ( 幇助犯 ) も罰せられる。
例えば
断続的労働の適用除外許可で実労働として認められない「精神的負担の大きい業務」を仕様書の業務内容 ( 契約内容 ) とし、受注者である使用者が「労働者にその業務をさせる」ようにし向けた発注者 ( 津市 ) は労働基準法違反の間接正犯として、受注者 ( 使用者 ) と同じ犯罪が成立する。
「仕向けたのではなく、一緒に行った,共謀して行った」と評価されるなら労働基準法違反の共同正犯,共謀共同正犯。
これも受注者 ( 使用者 ) と同じ犯罪が成立する。
「受注者の違反行為を唆した」と評価されるなら労働基準法違反の教唆犯。
正犯ではないが使用者と同じ刑罰が適用される。
「受注者の違反行為を実質的にor精神的に助けた」と評価されるなら労働基準法違反の幇助犯。
この場合は刑罰が減じられる。
このように、「津市自体が労働基準法違反を犯した」ことになり「津市に刑罰が科せられる」ことになる。
ロ.訴追するのは監督官
刑法犯は検察官が訴追し裁判官が犯罪の成立と刑罰の重さを決める。
しかし、労働基準法違反の犯罪では裁判官が犯罪の成立と刑罰の重さを決めるのは同じだが
訴追するのは労働基準監督官になる。
・森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。 ( 刑訴法190条 )
・ 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。 ( 労基法102条 )
・労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行なう。 ( 労働安全衛生法92条 )
労働基準法違反の犯罪は「監督官が動かなければ」捜査も訴追も始まらない。
つまり、犯罪として問題にされないのである。
ハ.労働者は違法労働であることを知らない
基準法違反の被害者は労働者。
違法労働をやらされた労働者は犯罪被害者として刑事告訴ができる。
刑事告訴があれば監督署は動かざるを得ない。
しかし、宿直業務を行っている現場の警備員は
「自分の毎日やっている業務が違法労働であること」を知らない。
精神的負担の大きい戸籍届受理業務や道路障害情報対応、
夜間に連続して4時間以上の睡眠を確保できないような業務が「断続的労働の適用除外許可では認められない業務」であり違法労働となることを知らない。
「じっと入口を見ていること」も当然だと思っている。
そもそも、そんな許可が必要なことも知らない。
案外、受注者の警備業者も「知らない」のかもしれない。
宿直業務を行う警備員が監督署に違法労働を申告したり違法労働の被害者として刑事告訴をしたりすることは考えられないのである。
ニ.行政は行政に干渉しない
「労働者の違法申告や刑事告訴がなければ監督署は動かない」?
そんなことはないだろう。
悪徳企業をビシビシと検挙しているじゃないか!
もちろん、監督署も労働者からの違反申告や刑事告訴を待っているだけではない。
監督署自ら動いて基準法違反を見つけている。
しかし、それはあくまで「私企業」に対してだけ。
行政が絡む労働関係には「よほどのことがない限り」踏み込まない。
そこに踏み込めば「その行政機関の責任も問題にしなければならなくなる」からだろう。
例えば、津市が断続的労働として発注する宿直業務に
断続的労働として認められない精神的負担の大きい業務も含めている。
この業務を受注した警備業者は警備員にその業務を行わさなければならない。
当然、その警備業者は基準法違反となる。
しかし、それを摘発すると「そうさせた津市の犯罪性」も問題にしなければならなくなる。
津市自身に基準法違反の間接正犯,共同正犯,教唆犯,幇助犯の成立も検討しなければならなくなる。
これは「身内の恥を世に晒すこと」になる。
行政機関同士には縄張りがある。
「その縄張りを荒らすことをしないの」が行政のルールなのだろう。
「警備室側出入口の休日無施錠」についての「基準監督官の態度」を思い出してほしい。
私の方には「休日無施錠なら警備員の負担が大きいので許可は出ない」と言いながら、
「それを支所の方に助言すること」は一切しない。
『それは、そちらと支所の間でちゃんと相談してください。』
このように行政が絡む労働事案では監督署は積極的に動かない。
監督署は積極的に動かない。
労働者は違法労働であることを知らない。
津市は「見て見ぬふり、聞いて聞こえぬふり」。違法労働を問題にすれば落札価格が高くなる。
結局「行政発注の業務には労働基準法は存在しない。監督署は存在しない。」
なお、これは公正取引委員会も同じ。
行政絡みの発注の入札で「独占禁止法の禁止する不当廉売 ( コスト割れ入札 ) による私的独占」があっても問題にしない。
それをすると「その行政機関の定めた予定価格自体がコスト割れとなっている」・「その行政機関自体が不当廉売をさせていること」も問題にしなければならないからだ。 → こちら
「最低賃金を1500円にします。」
「1日7時間労働、週に35時間労働にしましょう!」
こんな党首討論のむなしさ。
彼らの足元では官製違法労働がまかり通っているのに。
ホ.労働者が動かなければ「変わらない」
津市委託の宿直業務に蔓延する違法労働状態。
精神的負担の大きい戸籍届受理業務,道路障害情報対応,職員待機時の電話取次ぎ,
深夜作業担当者の出入り管理。
職員の根底意識にある「警備員はフリーパスの小間使い」。
70歳を超えて雇ってくれるところは他にはない。
雨風・酷寒・炎暑に晒される交通誘導より「なんと楽なことか」。
宿直業務の警備員は「ありがたい、ありがたい、こんな仕事はありがたい。」
受注者である警備業者は「自分も我慢し警備員にも我慢してもらう」。
そうしないと「自分も警備員も守れない」から。
「また来年は安売り競争か…。どこまで我慢するか、我慢させるか…。」
監督署は積極的に動かない。
津市に自浄能力はない。
津市発注の宿直業務はいつまでたっても「大江戸時代」。
これを変えられるのは現場の警備員だけ。
基準法違反の被害者である警備員の違反申告と刑事告訴だけ。
発注する断続的労働の業務内容に精神的負担の大きい業務を含めている津市,津市長を
労働基準法違反の間接正犯,共同正犯,教唆犯,幇助犯で刑事告訴する。
夜間に連続して4時間以上の睡眠を確保することのできない業務を指示している支所,支所長,担当も同じく。
ついでに「義務なきことを行わせた」として公務員職権乱用罪でも。
実際に津市や津市長に刑罰が科されることはないだろう。
しかし、その過程で世間が騒ぐ。
行政職員の一番怖がるのは「世間の評判」。
世間が騒げば行政は変わる。
もちろん、使用者も同様の犯罪責任を問われる。
使用者はできるだけ早く断続的労働の適用除外許可を得ておこう。
この許可のもとで業務をさせていたのなら、
「違法性の意識なしor期待可能性なし」として犯罪にならないからである。
( 違法性阻却or責任阻却 )
なお、使用者が最低賃金の減額許可を得ていない場合は
労働者に「適正賃金との差額」を支払わなければならない。
期間は「遡って3年~5年間」。
軽く一人500万円を超えるので注意しよう。
※ 宿直警備員の適正賃金差額請求 「あなたも 800万円?」
この許可もできるだけ早く取っておこう。
へ.「断続的労働」を外してしまえば問題ない
●宿直業務は要らない
そもそも、現在行われている支所の宿直業務は「絶対に必要なもの」ではない。
・夜の施錠,朝の開錠は職員が当番で行う。
・戸籍届は「刻時できるお預かり投函箱」でお預かり。投函した時刻に受理。
・埋火葬許可書は「24時間・365日発行係」を一か所だけ設置。
・動物死骸,倒木,陥没などの道路障害情報は当番を決めて当番のケイタイに転送。
・災害待機の場合の外線は待機している職員が取る。
・関連施設のカギ貸出・返却は執務時間内に行う。
・作業・工事などで深夜に出入りする職員には出入口のカギを持たせる。
・夜間,休日の施設内警備が必要なら機械警備を入れる。
職員が手分けすれば宿直警備員なんかいなくても支障は生じない。
「なんでもやらせられる小間使い」が居なくなるだけである。
●「断続的労働」を外せば問題は生じない
そもそも、宿直業務を断続的労働としているから違法労働が問題となる。
断続的労働でなければ
精神的負担の大きい戸籍届受理,火葬許可書の発行,道路障害情報対応も違法労働とはならない。
夜間に4時間以上の継続した睡眠を確保する必要もない。
勤務中は「ずっと入口をみていること」としても何の問題も生じない。
「受注者が適用除外許可を得ているかどうか」をチェックしなくても公契約条例に反しない。
断続的労働を外せば「勤務時間は6時間以内」。
これでも充分に宿直業務をこなせる。
平日は17:15~23:15の6時間。
この間、警備員が戸籍届受理や火葬許可書の発行、道路障害情報対応,関連施設カギ貸出,施設内巡回を行い、最後に施錠して帰る。
休日は
①12:00~18:00 ( 6時間 )
②18:00~24:00 ( 6時間 )
この間、警備員が戸籍届受理や火葬許可書の発行、道路障害情報対応,関連施設カギ貸出,施設内巡回を行い、最後に施錠して帰る。
ただし、
朝は職員が当番で施設を開ける必要があるし、
警備員が居ない間の戸籍届受理や火葬許可書発行は「24時間・365日対応の係」が別に必要となる。
そして、道路障害情報対応は職員の当番への転送となる。
これは問題ないだろう。
もっとも、警備員の人数が必要になるので警備業者にとっては負担になる。
当然、「6時間以内労働」を無視して違法労働をさせる警備業者も出てくる。
それは監督署に任せておけばよい。
その違法労働には津市が関与していないので「遠慮なくビシビシ摘発」していくだろう。
予定価格の算定は簡単。
実労働時間を算出する必要はない。
日当=最低賃金×6時間+深夜割増25%。
この日当に合わせて労働保険料,社会保険料をプラス。
警備員の新任教育20時間/人と制服代と警備室の消耗品。
それに、経費の何割かの利益。
大雑把に「日当合計の◯◯倍」としても良い。
「恒例の最低落札価格なし」にしておけば「それほど高くはならない」。
このあたりが「落としどころ」と思うのだが。
ト.警備業者のやることは
警備員が監督署に違法労働申告をしても大事にはならない。
監督署は是正勧告をするだけで「今までの違法行為は問題にしない」。
違法労働申告をするような警備員は「干せば」辞めていく。
行政には縄張りがある。
監督署もこれを守っている。
監督署が津市発注の宿直業務について違法労働を積極的に調べることはない。
津市は「落札価格が高くなるといけない」ので「違法労働を見て見ぬふり、聞いて聞こえぬふり」。津市が違法労働を問題にすることはない。
結局、現在の状態では「違法労働やりたい放題。やった者勝ち。」
しかし、誰かが「津市と津市長」を労働基準法違反の間接正犯や共同正犯,教唆犯や幇助犯で告発すれば事態は一転する。 ( 告発は被害者でなくても誰でもできる )
告発でも世間は大いに騒ぐ。
世間が騒げば監督署も動かざるを得ない。
津市は自分の犯罪性をごまかすために責任を受注者に押し付ける。
結局、受注者が「違法労働のトカゲの尻尾」となる。
それだけではない。
最低賃金の減額許可も得ていない場合は警備員から適正賃金との差額を請求される。
小さい警備業者はこれだけで簡単に倒産してしまう。
公安委員会がこのことを知れば臨時立入で「重箱の隅をつつかれて」行政処分。
悪くすれば認定取り消し。
断続的労働の適用除外許可と最低賃金の減額許可をまだ取っていないのならできるだけ早く取っておこう。
そうすれば津市や津市長が基準法違反で告発されても監督署は手が出せない。
津市から責任を押し付けられることはない。
価格競争は「適法,合法の範囲内」で行わなければならない。
「津市が支えているはしごに喜んで登ると、はしごを外されたときにどうなるか」を考えておこう。
さてさて、来年の入札が楽しみである。
つづく
次へ/呆れる「津市の印鑑行政」