施設警備業を営む津市民です。
4期目出馬予定の前葉市長に質問します。
津市公契約条例は「公契約における事業者間の競争激化、落札価格の下落による労働賃金や労働環境の悪化を防ぐこと」を目的としています。
そして津市が発注する業務について、
津市に対しては「公契約条例の目的を達するために必要な施策を講ずる責務」と「強力な監督権限」を、
受注者に対しては「労働法令順守義務」を定めています。
※津市公契約条例の概略 → こちら
しかし、実務の状況をご存じでしょうか?
実務では次のようになっています。
①「入札価格を算定できない」仕様書。
②「その業務が違法労働に該るかどうかが判断できない」仕様書。
③「受注者の労働法令違反はチェックしません」と津市が公言。
④「違法労働を行わせること」を前提とした入札期日。
⑤「労働法令順守の賃金が支払えない」予定価格。
⑥予定価格を公表しなければならないときは「一気に20万円アップ」。
「委任契約だから労働関係法令違反は受注者の責任で発注者には関係ない」。
これは「自分の資金で事業活動をする者」の言い分です。
資本主義だから「自分自身が法令に反しない限り何をやっても自由」です。
受任者が労働関係法令違反をしても関係ありません。
このようにしないと経済が活発になって発展しないからです。
しかし、国や地方公共団体は違います。
国や地方公共団体の活動資金は納税者から信託された税金です。
我々納税者は「違法労働環境を作り出すような使い方」まで信託していないのです。
津市長に質問します。
下の各欄に説明する ①~⑥ の実務の状況を
・「知らない」のですか?
・「知っているけど知らないふりをしている」のですか?
・それとも「そう指示している」のですか?
いずれにせよ早急に改善してください。
そうしないと「津市自身が違法労働環境を作り出している」ことになり、
自らが定めた公契約条例に自らが反することになります。
「作為義務のある者の不作為は作為である」ことをお忘れなく。
※注意
・文中の金額はすべて「税抜き」です。
- 津市長への質問
- 津市長からの回答
- 2023年度の総合支所等警備業務入札は変わったか?
1.警備員が行う宿日直業務に対する法的規制
『そんな許可が必要なの?』
この項は一般市民の方々への基礎知識です。
市長と市役所職員は読み飛ばして下さい。
a.断続的労働の適用除外許可
労働基準法では
・労働時間は8時間/日,40時間/週(労基法32条)
・労働時間の途中に「45分/6時間超え・60分/8時間超え」の休憩(労基法34条)
・これに反する労働契約は無効。契約は労基法の基準に引き上げられる(労基法13条)
・使用者に罰則・6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(労基法119条)
警備員の行う宿日直業務は16時間勤務や24時間勤務で労働時間が8時間より長くなります。
また、1ポストの場合は来訪者や電話対応,事故発生時の緊急対応があるため休憩は存在しません。
そこで警備業者は雇用する警備員に宿日直業務を行わせるために、
労基法の労働時間・休憩時間の適用を除外してもらう必要があります。(労基法41条)
そのためには、労働基準監督署から「その業務についての適用除外許可」をもらわなければなりません。
これが断続的労働の除外許可です。
正式には「断続的労働に従事する者に対する適用除外許可」。
もちろん、細かい許可基準 (厚生労働省の行政解釈 ) があります。
この許可基準に適合しないと許可は出ません。
この許可を得ないで宿日直業務を行わせると、8時間を超えた時点で労働基準法違反となります。
この許可は「その業務に対する許可」ですが「予め取得しておくこと」はできません。
「業務を実際に受注し、警備員がその業務を開始してから」実地調査が行われ審査が開始されます。
しかも、許可の効力は許可書が出た時点から発生し、許可申請の時に遡りません。
つまり、実際に許可が下りてからでないと警備員にその業務を行わせることができないのです。
実地調査から許可が出るまでは2週間~1か月。
許可の効力は無期限で業務場所と業務内容が変わらない限り取り直す必要はありません。
しかし、新しく業務を受注した場合や同じ業務内容でも業務場所が違う場合は新たに許可申請が必要です。
総合支所の宿日直警備業務を始めて受注した警備業者はもちろん、今まで総合支所の宿日直警備業務を受注していた警備業者が別の総合支所の宿日直警備業務を受注した場合にも新たに許可申請が必要で、許可が出るまでの2週間~1か月は警備員にその業務を行わせることができないのです。
※断続的労働の適用除外許可・最低賃金の減額許可の効力発生時期 → こちら
b.最低賃金の減額許可
宿日直業務は「実労働時間が短く手待ち時間が長い」ので一般の労働に比べ労働強度が低くなります。
そこで、上の「断続的労働の適用除外許可が与えられた業務」について、
さらに別の許可を得て最低賃金を減額することが認められています。 (最低賃金法7条)
この許可は労働者個人についてのものなので、
労働者一人一人に対し労働局に個別に申請して減額許可をもらわなければなりません。
これが最低賃金の減額許可です。
正式には「断続的労働に従事する者の最低賃金の減額の特例許可」。
最低賃金をどれだけ減額できるかは
・「巡回,立哨などの実労働」が100 % 評価、
・「来訪者・電話対応,火災報知器・事件事故対応など突発的な業務」は手待ち時間に含まれて60 % 評価。
これを実際の業務時間について集計・平均して最低賃金の減額率を算出します。 → こちら
減額許可を得た雇用主は
その労働者について許可された減額最低賃金以上の賃金を支払えば済みます。
この許可がない雇用主は
「労働時間×最低賃金」を支払わなければならず(最賃法4条2項)、
それより安い賃金では
地域別最低賃金法に関しては50万円以下の罰金(最賃法40条)
特定最低賃金に関しては,「労基法24条違反」として30万円以下の罰金(労基法120条)になります。
もちろん、この罰則とは別にその労働者には「通常賃金との差額」を支払わなければなりません。
但し、賃金請求の消滅時効が3年なので3年分だけです。
それでも、一人当たり500万円~800万円になります。 → こちら
※2020.04の労基法改正で消滅時効が2年から5年になり、経過措置として「当面の間は3年」になりました。
この許可は断続的労働の適用除外許可と異なり「労働者個人に対する許可」なので、宿日直業務を行わせる警備員一人一人について申請しなければなりません。
もちろん、予め許可を得ておくことはできず、「実際にその業務を受注し、その警備員に業務を行わせてから」実地調査と審査が開始されます。
同じ警備業者が同じ警備員に同じ業務内容を行わせる場合でも業務場所が異なれば新しく許可申請が必要です。
許可有効期間は最長で3年ですが、1年ごとの契約では原則として毎年申請しなければなりません。
津市調達のように1年ごとの契約では「同じ警備業者が同じ警備員に同じ総合支所で同じ警備業務をさせる場合」でも原則として新たに許可申請をしなければなりません。
実地調査から許可が出るまでは2週間~1か月
許可の効力発生は「許可書が出てから」で「申請時に遡らない」。
しかし、許可書が出るまでその警備員に対し通常賃金を支払えば最低賃金法違反とはなりません。
清掃業務と異なり宿日直警備業務にはこのような法的規制があるのです。
①仕様書では「入札価格を算定できない」
『そこは、御仏にお聞きして…。』
〇2022.03.28 津市調達契約課への要望
従来の仕様書には業務の内容として「施設開場・閉場,施設内巡回,電話・来訪者対応,郵便物受け取り,事故発生・緊急対応など」と大雑把な記載しかなされていない。
これでは実際の業務についての実労働時間,手待ち時間が判らず最低賃金の減額率が計算できない。
最低賃金の減額率が判らなければ警備員の賃金が計算できず、労働保険料,社会保険料,有給休暇負担分も算出できず人件費が計算できない。
警備業務経費のほとんどは人件費なので、人件費が計算できなければ入札価格が決められない。
仕様書に実労働時間数と手待ち時間数を記載してほしい。
〇2022.04.06 津市調達契約課からの回答(津市契第3号・前葉泰幸)
総合支所の警備業務は、巡回警備の他に、戸籍に関する届出の受け付け、埋火葬許可書の発行、庁舎の入退出確認、火災等の緊急対応、施設の使用許可申請受け付けなど、様々な対応があり、それらへの対応時間等を仕様書に記載することは困難。
〇市長、どう思いますか?
回答の業務は「突発的な業務」で「60%評価の手待ち時間に含まれる」ものです。
そんな突発的な業務の対応時間数なんか分からないし、知りたいとも思いません。
知りたいのは「実労働時間数」。
津市調達契約課の職員は断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可について本当に無知なのでしょうか?
それとも「たかが警備員」となめてかかって、はぐらかせようとしているのでしょうか?
〇2022.04中旬 配布された仕様書に対して同様の質問
配布された仕様書にも実労働時間数が記載されていなかったので各支所に質問。
各支所からの回答は「想定される実労働時間数と手待ち時間数」。
調達契約課の指示で各支所の総務担当が警備員日報から拾ったのでしょう。
「想定」では何の役にも立ちません。
「実際の実労働時間数」でないと減額率を計算できません。
なぜ、現在受注している警備業者に教えてもらわないのでしょうか?
最低賃金の減額許可書に所定労働時間数,実労働時間数,手待ち時間数がはっきりと書いてあります。
「教えてもらえない理由」でもあるのでしょうか?
②仕様書では「それが違法労働であるかどうか」も判らない
〇2022.03.28 津市調達契約課への要望
従来の仕様書には業務の内容として「施設開場・閉場,施設内巡回,電話・来訪者対応,郵便物受け取り,事故発生・緊急対応など」と大雑把な記載しかなされていない。
具体的な巡回回数,1巡回の所要時間,巡回合計時間,仮眠可能時間が判らなければ「この業務が断続的労働の適用除外許可の与えられるものかどうか」判断できない。
具体的な業務内容を記載してほしい。
〇2022.04.06 津市調達契約課からの回答と仕様書への記載
これに対する回答は
上記の「手待ち時間60 % 評価に含まれる労働態様」を挙げて、「業務には様々な対応があり、それらへの対応時間等を仕様書に記載することは困難」とはぐらかし。
そして、2022年度の仕様書には「労働基準法解釈総覧 ( 厚生労働省労働基準局編 ) 」からそのまま抜き出した次のような記載。
「当該業務は、原則として、常態としてほとんど労働する必要がなく、定期的巡視、施錠及び開錠、緊急の文書または人和の収受、不意の来訪者への対応、非常事態発生の対応等を行うものであり、断続的な労働の態様の警備保障業務と捉えており、また、夜間においては、継続4時間以上の睡眠が可能であることから、業務時間の全てが労働時間ではない。
……中略……
当該業務においては、巡視する場所が危険ではなく、また、その環境条件が温度、湿度、騒音、粉塵濃度等の諸点から見て有害でなく、巡視の回数は1勤務6回以下であり、かつ、巡視1回の使用時間は1時間以内であって、その合計は4 時間以内である。」
〇市長、どう思いますか?
「たかが警備員だから固い法律用語に引き下がる」とでも思っているのでしょうか?
そもそもこの基準は平日の16時間勤務の許可基準です。
土曜・日曜・祭日の24時間勤務の許可基準は別にあります。
それも書いてもらわないと…。
問題はコピペした文章の中に入れた「断続的な労働の態様の警備保障業務と捉えており」という文言。
断続的労働の許可を出すかどうかは労働基準監督署で津市ではありません。
発注側の津市が「断続的労働の許可が下りる業務だと捉えている」と言っても、
労働基準監督署が許可を出すかどうか分かりません。
実際に許可が出なければ、その業務は違法労働。
津市は「違法労働になるかどうかわからない業務」に入札させようとしていることになります。
なぜ「ご安心ください。現在の受注業者は断続的労働の適用除外許可を得ています」と答えられないのでしょうか?
「そう答えられない理由」でもあるのでしょうか?
③「受注者の労働法令違反はチェックしません」と津市が公言
『私は何も見ていません。私には一切関係ありません。』
〇2022.4中旬 仕様書に対する各支所への質問
この仕様書の「断続的労働と捉えており」という部分について各支所に質問。
仕様書の「当該業務は……断続的な労働の態様の警備保障業務と捉えており…」の「捉えており」というのはどういう意味でしょうか?
「津市がそう考えている」という意味でしょうか?
この業務は実際に津労働基準監督署の「断続的労働に従事する者に対する適用除外許可」が下りている業務なのでしょうか?
〇2022.04中旬 各支所からの回答
「捉えており」とは、現在の当該業務の内容からみて、断続的な労働の態様の警備保障業務であると理解しているということです。
当該業務の労働基準監督署への「断続的労働の適用除外許可」がなされている業務か否かについては、
許可申請は受注者が行うものであり、当方としましては、受注者が許可申請を行っているかどうかは把握しておりません。
さらに「実労働時間数と手待ち時間数の想定では正確な人件費が算定できないので、現在の受注業者が実際に得ている最低賃金の減額許可書の減額率を公表するべきなのでは?」との質問に対しても
現行の津市庁舎警備業務委託について、
委託事業者より適用除外許可・減額の特例許可書の呈示を求めていないため、
「実労働時間合計」と「手待ち時間合計」をお示しできません。
〇市長、どう思いますか?
津市は「受注者が断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可申請をしているかどうか把握していないし、それら許可書の提示も求めていない」と文書で回答しているのです。
最低賃金の減額許可を得ないでも通常賃金を支払えば最低賃金法違反になりません。
しかし、断続的労働の許可を得ないで8時間以上の宿日直業務をさせれば労働基準法違反になります。
つまり、「津市は受注者の労働法令違反をチェックしません」と公言していることになります。
「制限速度を守るかどうかはドライバーの責任」です。
私たち警察は「ドライバーが制限速度を守っている」と捉えています。
私たちがスピード違反の取締をすることはありません。
白バイや覆面はただ走っているだけです。
ネズミ捕りもしません。オービスのスイッチも切ってあります。
警察がこんなことをしていたらスピード違反はなくならないし、交通事故も減らないでしょう。
津市の契約実務では津市公契約条例の目的と津市の責務は忘れ去られ、津市の監督権限を封印。
断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可を得ているかどうかの調査も指導もしない。
ひたすら「受注者の法令違反はすべて受注者の責任です! 私には関係ありません!」。
「知らぬ存ぜぬ」を通さなければならない理由でもあるのでしょうか?
『…そうしないと、落札価格が高くなりますから…。』
えっ? 聞こえません! もっとはっきり言ってください!
④違法労働を前提とした入札期日
〇2022.03.28 津市調達契約課への要望
市庁舎の宿日直業務の開始は5月1日。
しかし、その入札は4月の第3週に各支所ごとに日を分けて順次。
そのため、遅いものでは「落札から業務開始までが1週間」。
断続的労働の除外許可は予めの許可申請ができず、
実際に業務を受注してから許可が出るまでは2週間~1か月。
許可の効力は許可書が交付されてから発生するので、新たに業務を受注した業者はは「この2週間~1か月」は労働者を配置できない。
この点を考慮して宿日直業務の入札時期を早くしてほしい。
〇2022.04.06 津市調達契約からの回答
各年度で実施する業務委託については、新年度予算成立後の発注となりますので、
契約及び入札事務に要する期間を考えた場合には、4月下旬での入札にならざるを得ず、
業務開始日までに大幅な余裕を儲けることは困難ですか、
各総合支所の警備業務の入札には、同じ業者の方が参加されることか想定されますので、
入札参加者の利便性の向上を図るため、担当部署間で調整の上、入札期日等を設定することとします。
〇市長、どう思いますか?
津市の予算が決まるのが3月下旬だから日数に余裕がないのは分かります。
しかし、宿日直警備業務は他の業務と異なり断続的労働の適用除外許可が必要な業務です。
この許可が出ないうちに警備員に業務を行わせると違法労働になる業務です。
申請から許可が出るまでは2週間~1か月。
その点を考慮して警備業務だけは入札時期を早めることが必要です。
そうしないと、「津市は受注警備業者が断続的労働の適用除外許可を得ることを前提にしていない」ことになりす。
そもそも、今までこの点が問題にならなかったのはなぜなのでしょう?
また、「警備業務の入札の一週間前に清掃業務の入札が行われる」のが毎年の順番。
なぜ、「労働者を配置するには基準監督署の許可が必要である警備業務」より「その許可の必要がない清掃業務」の入札を先にやるのでしょう。
本当に「4月下旬での入札にならざるを得ず、業務開始日までに大幅な余裕を儲けることは困難」なのでしょうか?
もしかして、調達契約課の職員は「断続的労働の除外許可や最低賃金の減額許可について本当に知らない」のでしょうか?
⑤「労働法令順守の賃金が支払えない」予定価格
『 有休の “ゆ” を口にしたらクビにしなさい。』
津市の業務委託入札は最低落札価格なし。
一年ごとに希望する全事業者を集めて安売り競争をさせる。
『さあさあ、一年に一度のチャンスだよ! 仕事が一年間もらえるよ ! 安い者勝ちだよ!』
この「落札額が1円でもいい、 タダならもっといい」の「最低落札価格なし」は時代錯誤そのもの。
基本的人権に「他の者の基本的人権を侵害しない限り」という内在的制限があるように、
公契約条例のもとでの「最低落札価格なし」には内在的制約があるはず。
それは、「その価格で受注しても労働関係法令に違反しない雇用ができる」という制約。
「利益が1円でもいい、利益無しでもいい」というのが公契約条例の下での最低落札価格なし。→ こちら
しかし、こんな道理を津市に説いても無駄でしょう。
津市は「受注者の法令違反はすべて受注者の責任です! 私には関係ありません!」を繰り返すだけ。
「発注する業務について違法労働状態を無くする」ことより「できるだけ安く受注させる」ことが優先なのでしょうから。
ここで問題とするのは「“最低落札価格なし“ の内容」ではなく「津市の定めた予定価格」。
「これ以上の値段では契約しませんよ」という落札価格の上限。
この予定価格の方は「その価格で受注しても労働関係法令に違反しない雇用ができる」ものでなくてはなりません。
そうでないと、津市が「違法労働を前提にしている」ことになりますから。
〇各支所が回答した「想定実労働時間数」から算出した予定価格
上(①)で各支所が想定実労働時間数を回答しています。
このうち、2支所の想定実労働時間数から予定価格を算定してみましょう。
この2支所は「予定価格オーバーで再入札,不調」となったものです。
※最低賃金は2022年4月時の三重県最低賃金902円です。
A庁舎
・平日 : 所定労働時間=915分(15.25時間)、実労働時間=160分、手待ち時間=755分
・休日 : 所定労働時間=1440分(24時間)、実労働時間=200分、手待ち時間=1240分
↓
・これから算出した日当は平日10300円,休日15300円 ( 最低賃金902円で計算 )
↓
・2022年5月1日~2023年3月31日の11カ月で「平日 / 223日、休日 / 112日」
↓
・1か月の平均賃金=364590円
↓
・3名でやる場合の1か月の人件費
↓
・賃金=364590円/月
・労働保険事業主負担分 ( 20/1000 ) =7292円/月
・健康保険料・厚生年金事業主負担分 =17646円/名×3名 → 52938円/月
・有給休暇負担分 ( 1名につき10労働日/年 ) =12875円/月
・法定の警備員教育=4510円/月
・制服装備品消耗=2500円/月
・交通費=15227円/月
・寝具 ( 断続的労働の適用除外許可に必要 ) =2500円/月
・警備室などで消費する消耗品 ( 断続的労働の適用除外許可に必要 ) =2000円/月
・警備業者責任賠償保険料増加分=2000円/月
↓
・人件費合計=賃金/364590円+法定必要費/101842円+利益/0円=466432円/月
※計算の詳細は → こちら
B庁舎
・平日 : 所定労働時間=915分(15.25時間)、実労働時間=170分、手待ち時間=745分
・休日 : 所定労働時間=1440分(24時間)、実労働時間=120分、手待ち時間=1320分
↓
・平日日当10400円,休日日当14800円 ( 最低賃金902円で計算 ) → 賃金361528円/月
↓
・人件費合計=賃金/361528円+法定必要費/101906円+利益/0円=463434円/月
※計算の詳細は → こちら
以上のことから適正な予定価格を推測すると
賃金36.5万円+法定必要経費10.1万円+利益 ( 1割程度) /4.4万円=51万円/月
〇予定価格越え2件
2022年4月の入札ではこのA庁舎とB庁舎が予定価格越えで再入札。
(A庁舎)
・42.9万円で予定価格オーバーで落札者なし。
↓
・ 一社を残して全員が再入札を辞退。
↓
・一社が残って再入札2回 → 40.7万円で落札
↓
・A庁舎の予定価格は40.7万円程度
(B庁舎)
・予定価格オーバーで落札者なし。
↓
・一社を残して全員が再入札を辞退。
↓
・ 一社が残って再入札二回 → 40.5万円でも予定価格超え→不調
↓
・B庁舎の予定価格は40.4万円以下
〇市長、どう思いますか?
予定価格はどのように決めているのでしょうか?
次のような計算でしょうか?
最低賃金減額許可の減額率で算出した賃金36万円を算出。
これに利益を1割強の4万円~5万円プラスして後の法定必要経費はすべてカット。
つまり、労働保険なし・社会保険なし・有給休暇なし・寝具なし・制服なし…。
いやいや、そんな細かい計算はしていないでしょう。
そもそも断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可を前提にしていないのですから。
多分、前年度の「安売り落札価格」に何%かを上乗せしただけの「どんぶり予定価格」でしょう。
どちらにせよ、津市の定めた予定価格は労働関係法令で求められる費用について「なし、無し。そんなのアンタたちには必要ないでしょッ!」
今一度、細かく人件費を計算し「適正な予定価格」を算定するべきでしょう?
そうしないと、他の市町村から笑われるだけでなく津市民から見放されますよ。
「公契約の適正な履行及び良好な品質を確保するため、…予定価格…が適切なものとなるよう努めなければならない。」 ( 津市公契約条例4条6項 ) にも反しますね。
『あのぉ…、“努めなければならない”と書いてあるだけなので、“努力義務”なのですが…。』
⑥予定価格を公表しなければならないときは「20万円アップ」
『あれも出るぞ、これも出るかも…。』
〇2年前の予定価格の方が20万円高い
ここでひとつ疑問が。
『確か、2020年度の三重短期大学宿日直業務の予定価格は 62.2万円/月 だったのでは?』
津市の業務委託では終了した調達の予定価格は公表されません。
しかし、この予定価格は令和3年第一回審議会で公表されました。 → こちら,令和3年第一回審議会議事録
この年度に三重短期大学宿日直業務が試行案件に選ばれていたため、
審議会で予定価格,落札価格,落札率,応札業者数を公表しなければならなかったからです。
三重短期大学の宿日直業務は総合支所宿日直業務と同じく「1ポスト・平日15.5時間,休日24時間」。
そのため、総合支所の宿日直業務の入札に含めて行われます。
当方はこの短期大学宿日直業務を通算3年間やっています。
この短大の宿日直業務は総合支所宿日直業務に比べ、
・婚姻・出生・死亡届などの戸籍届受理業務がない。
・道路障害物情報に対する対応業務がない。
・市民からの問い合わせがない。
・附属施設の管理業務がない。
本当に「夜、施設を点検し鍵を閉めて、朝、鍵を開けるだけ」の労働強度の低い業務です。
そのため、毎年の落札価格は他の総合支所業務より5万円程度安くなっています。
2020年の最低賃金は2022年の902円より28円も安い。
労働保険料の事業主負担分は4.5/1000だけ安い。
さらに落札相場が他の総合支所より5万円ほど安い。
それなのに、審議会で公表された予定価格は62.2万円/月。
なんと、2022年度の総合支所の予定価格より20万円も高い!
〇市長、どうしますか?
2020年の短大の宿日直業務はその年の試行案件に選ばれていたので、審議会で予定価格を公表しなければならない。
従来の「法令違反おかまいなしのどんぶり予定価格」では審議会で問題にされるに決まっている。
だから、20万円水増し!
誰がこんな「姑息な騙し」を画策したのでしょうか?
もしかして、「実際の予定価格とは異なる嘘の数字」ですか?
「中央官庁の文書改竄」を知っている我々としては疑いたくもなります。
「忖度」という言葉も流行りましたね。
これは大スキャンダルですよ!
ともあれ津市は「毎年の予定価格では安すぎて違法労働が問題になること」を十分に知っているようです。
それはそうと、この試行案件で「ピッタリ賞」の落札率100%や
「もう少しで賞」の99.66%や98.18%がありますよ。→ こちら
これらも「過去の予定価格の公表なし、市内業者全員指名の最低落札価格なしの安売り競争」だったはず。
それなのに…。
いろいろな疑念を抱かせる「何もかもが非公開の津市業務調達」。
今までの予定価格と落札価格を全部チェックする必要があるのではないでしょうか?
市長、4期目に期待してもいいんですよネ?
『誰か呼びました?』
●津市長からの回答
◯この公開質問は2023.1.30に市長の後援会にメール送付。
2023.2.7 に市議会議員やマスコミへと同じく市長の後援会へハガキ連絡をしています。
「聞こえぬふり」をするのは自由ですが、津市民は見ていますよ。
◯2023.2.24
・津市総務部調達契約課物品調達契約担当 から回答が届きました。
・回答文書名義は「津市長 前葉泰幸」と津市長の角印。
・多分、市長が調達契約課に回答を丸投げしたのでしょう。
「この丸投げ回答」原文と考察については次頁で。