「間違ったまま」の警備員の宿直業務

『監督署は基準法違反を取り締まっています!』



適用除外許可再申請の経緯
『新たに許可申請をする必要なし』
警備員の宿直業務の今後

1.適用除外許可の再申請の経緯

a.経緯

●庁舎に同居する水道事業所の深夜出入り

津市のある総合支所の宿直業務を受託した。
いわゆる断続的労働で適用除外許可と最低賃金の減額特例許可を取得。

この支所に同居する津市の水道事業所が金曜の深夜に工事を行う。
工事終了後に立ち会った職員が庁舎に帰ってくる。
それが深夜の2時,3時になる。

職員は仮眠中の警備員を起こし、警備室側出入口のドアを解錠させて庁舎に入る。
その職員は庁舎内で30分~60分の残務を行い、
警備員に警備室側出入口のドアを解錠させて帰宅する。

職員出入りの際のドア解錠・施錠はものの5分とかからない。
しかし、警備員はここで仮眠が途切れてしまう。
そのあと朝5時30分の起床まて眠りに入れないこともある。

これでは断続的労働適用除外許可の要件である
「夜間に継続して4時間以上の睡眠を与えること」を満たさず、
適用除外許可の範囲外の労働として違法労働となる。

この点を支所に説明し。
「深夜に出入りする職員に警備室側出入口の鍵を貸与し、
職員自身で出入りし警備員が対応しないこと」を要求した。

しかし、支所の回答は
「その業務は仕様書に明記されてはいないが、
予定できない突発的業務として仕様書の内容に含まれる。
そのため警備員が対応することは当然であり
適用除外許可の範囲内の労働として違法労働とはならない」。

「仕様書(契約)に含まれる業務だから違法労働とはならない」というのは「ベニスの商人」。
支所の責任者がこの程度の法律感覚しか持ち合わせていないのには呆れてしまう。
しかし、まずは「この業務が仕様書(契約)に含まれるのかどうか」を委託契約を所管する津市調達契約課に糺した。

調達契約課の回答は
「仕様書の内容を決めるのは各支所であり調達契約課は関知していない。
仕様書の内容の解釈に争いがあるのなら支所との間で解決してほしい」。

津市調達契約課とはいったい何をする部署なのだろう。
仕様書(契約)の内容・解釈について支所と受注者が争いになっているのに、「支所と受注者の間で解決してくれ」とは!
調達契約課とは「ただ契約書面を作るだけの部署」なのだろうか?

しかし、このような「無用な行政部門」を嘆いていても問題は解決しない。
「津市役所ではこの問題を解決できない(解決しようとはしない)」ことが分かったので次の方策をとることにした。

●監督署の態度

「水道事業所職員の深夜出入に対応する業務が適用除外許可の要件に反するかどうか」については適用除外許可を審査する監督署なら分かるはず。
私は資料を作って監督署に出向いた。

この業務について適用除外許可を審査し許可を与えた監督官が対応。

この監督官の回答は
『監督署は「個別業務が適用除外許可の要件に反するかどうか」の判断はしない。』

つまり「適用除外許可申請があったときに、その業務が許可要件に反するかどうかを判断する。
許可申請がないのにその業務が許可要件に反するかどうかについては判断しない。」ということ。
これは裁判所が「提訴されたときにだけ法律の解釈をする」のと同じ。

ここで、水道事業所職員の深夜出入りに対応する業務が適用除外許可の要件である「夜間の継続した4時間睡眠を与えること」を満たさず違法労働になるかどうかについては「適用除外許可の申請をすれば監督署が判断する」ことが分かった。

しかし、の監督官は最後にこう付け加えた。

『前回の許可審査のときにその業務についての説明はなかった。
また、資料として提出された仕様書にも記載されてはいなかった。
つまり、その業務は現在の適用除外許可の範囲外のものになる。

だから、「その業務が夜間の継続した4時間睡眠を与えることに反して違法労働になるかどうか」を別にして、その業務を労働者にやらせれば「現在の適用除外許可の範囲を超えた労働をさせること」になり基準法違反になる。
労働者には絶対にその業務を行わせないこと。』

●再度の許可申請しか方法がない

これで八方塞がりとなった。

支所は「その業務は仕様書に明記してないが仕様書の内容に含まれるから警備員が行うのは当然。」
調達契約課は「仕様書の内容については関知しない。支所と受注者で解決してくれ。」
監督署は「それが違法労働になるかどうかについて判断はしないが、その業務をやらせれは基準法違反になる。」
そして、水道事業所職員の深夜出入は続く。

もう、この業務を含めて新たに適用除外許可許可の申請をするしか方法がない。

許可が出なければ「水道事業所職員の深夜出入り対応」を警備員がやる必要はなくなる。
受託した宿直業務は「適用除外許可を取得できる業務」だからである。

許可が出れば「その業務が仕様書(契約)に含まれるかどうか」を争えばよい。

こちらは「公務員職権乱用罪での刑事告訴」という強力な方法が使える。
刑事手続きの過程で「その業務が仕様書(契約)に含まれるかどうか」が判定される。
「仕様書に含まれない業務」と判定されれば津市に契約違反や使用者責任を問える。
もちろん、支所の責任者に刑事責任を負わせることができる。

単なるパワハラ申請ではなく刑事告訴なら世間が注目する。
「間違いだらけの警備員宿直業務」に関心が集まる。
居所の悪くなった津市が宿直業務の内容を「正しいもの」に修正するかもしれない。

こちらの公訴時効は3年だからゆっくりとやればよい。

以上の経緯について詳しくは →  こちら

b.再度の許可申請

イ.添付書類

再度の許可申請では
戸籍届受理業務と道路障害通報対応業務についてその内容をしっかりと説明することにした。
これら業務が適用除外許可の要件である「精神的負担の大きい業務でないこと」を満たすかどうかを監督署に判断させるためである。

申請添付は次の通り。

〇適用除外許可
前回申請からの変更点
別紙1説明別紙1記録(戸籍届受理業務)
別紙2説明別紙2記録(道路障害情報対応)、
別紙3説明別紙3記録(水道障害自動電話)
別紙4説明別紙4記録(水道事業所職員の深夜出入)
・時間チャート(平日/翌日も平日,平日/翌日が休日,休日/翌日が平日,休日/翌日も休日)
・仕様書
・契約書

〇減額特例許可
・雇用条件通知書(雇用契約書)
・1年間の出勤予定表

これが残されたたった一つの方法だから。



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