●「国連のビジネスと人権に関する指導原則」に逆行する津市

国連の指導原則に逆行する津市

よく見ると「そろそろ」ですね。



1.時代錯誤の津市と公共調達

津市が毎年行っている「総合支所宿直警備業務委託」ついては次の問題点があります。

a.「受注者の違法労働・人権侵害」は津市に関係ありません

①「断続的労働の適用除外許可を取得しているかどうか」津市は関知していません。

この宿直業務は「1ポストの15.5時間・24時間勤務」のため
労働基準監督署の断続的労働の適用除外許可が必要です。
この許可を得ないで労働者をその勤務に就かせると労働基準法違反・人権侵害となります。

許可申請には「実際の業務についての詳細な内容」が必要ですが仕様書に記載されていません。
そのため、入札者は「その業務に断続的労働の適用除外許可が下りるのかどうか」が判断できません。
つまり、受注した場合に「許可が取れないで違法労働・人権侵害になる」可能性があるのです。

この点につき津市に質問。
津市の回答は
「津市はこの業務を断続的労働の適用除外許可が得られる業務だと捉えています。」
津市がそう考えていても実際に許可審査をする監督署がそう判断するとは限りません。

そこで「現在の受注者は実際に断続的労働の適用除外許可を得ているのかどうか」と質問。

津市の回答は
「断続的労働の適用除外許可申請は受注者のすることだから、津市は関知していません。
そのため現在の受注者が断続的労働の適用除外許可を得ているかどうか分かりません。」



②「最低賃金の減額許可を得ているかどうか」分かりません。

断続的労働は平均すると労働強度が低いので最低賃金を減額でき、賃金を安くすることができます。
そのためには労働局の最低賃金の減額許可が必要です。
この許可を得ないで通常の最低賃金より低い賃金を支払うと最低賃金法違反・人権侵害となります。

この許可申請には「実際の実労働時間数と手待ち時間数」が必要ですが、それが仕様書に書かれていません。
これが分からないと「許可されるだろう減額率」が推定できず人件費が算定できません。
人件費が算定できないと全体の経費が算出できないので入札価格が決められません。

この点を質問すると
津市は「津市の想定する実労働時間数と手待ち時間数」を回答。
実際と異なる想定では意味がないので
「現在の受注者の得ている最低賃金の減額許可書に記載されてい
る実労働時間数と手待ち時間数、許可された減額率を教えてほしい」と要求。

これに対する津市の回答は
「最低賃金の減額許可は受注者がするもので津市は関知していません。」
「津市は受注者に対して断続的労働の適用除外許可書と最低賃金の減額許可書の提示を求めていないので許可書記載の項目については判りません。」

津市の考え方は次のとおりです。

「断続的労働の適用除外許可を申請するかどうかは受注者のすることだから発注者の津市は関知していない」。
つまり「断続的労働の適用除外許可を得て合法労働をさせるか、断続的労働の適用除外許可を得ないで違法労働をさせるかは受注者の問題だから、津市は関知していない」。
結局、「受注者が違法労働・人権侵害をするかどうかについて津市は関知しない

最低賃金の減額許可についても同じです。
「受注者が最低賃金の減額許可を得ているかどうか津市は関知していない。」
つまり、
「受注者が最低賃金の減額許可を得ている場合は許可された減額最低賃金以上の賃金を支払い、最低賃金の許可を得ていない場合は減額されない最低賃金以上を支払っていること」を津市は関知していない。
結局「受注者が最低賃金法に違反しているかどうか津市は関知しない

以上のように
津市は発注した業務が「適法になされているか違法になされているか」について関知していない。
受注者が違法行為や人権侵害をしてもをしても発注者の津市には関係ない。

津市は「違法労働業者・人権侵害業者いらっしゃい!」なのです。


姑息に逃げ回る津市

津市は公契約条例を制定しています。
この条例では津市発注の業務について受注者の法令順守義務と津市の監督義務を規定しています。

「断続的労働の適用除外許可を得ているかどうかは受注者の問題で津市には関係ない。許可書の提示も求めていない」という回答に対し
「津市は公契約条例の監督義務を果たしていない」と追求すると

津市は何十年も使い続けてきた仕様書を突然変更。
「1名配置」を「1名以上配置」に変更し、「断続的労働の文言を削除」。

「津市が発注しているのは必ずしも断続的労働に該るものではない。
だから、受注者が断続的労働の適用除外許可を得ているかどうか津市が関知していなくても監督義務懈怠ではない」

これで「逃げられた」と思っているのでしょう。 → こちら

あくまで、「受注者の違法行為・人権侵害は受注者の責任で発注者の津市には関係ない」を押し通そうとしています。

何がなんでも「違法労働業者・人権侵害業者いらっしゃい!」

以上詳しくは → 津市公契約条例は責任逃れ②

b.受注者の違法労働・人権侵害を助長する調達方法

さらに、調達方法が受注者の違法労働・人権侵害を助長するようなものになっています。


③予定価格

2022年度の調達で
「津市の示した想定実労働時間数と手待ち時間数」から許可されるだろう最低賃金の減額率を算出。
有給休暇や社会保険等の法定経費を追加して必要額を計算すると予定価格をはるかに超えていました。
( 予定価格は公表されないので「予定価格オーバーとなったときの最高入札価格」から予定価格を推測 )
2022年度の予定価格(最高制限価格)では労働法令違反

津市の予定価格は合法労働を前提にしていないのです。
そして「受注者の違法行為・人権侵害は受注者の責任で津市には関係ありません!」


④最低落札価格なし

予定価格はあっても最低落札価格はない。
「1円でもいい。タダならもっといい。」
競争心を煽るために毎年、入札者を一同に集めての紙入札。
そして「受注者の違法行為・人権侵害は受注者の責任で津市は関知しません!」


⑤許可取得を前提にしていない入札期日

断続的労働の適用除外許可と最低賃金の減額許可は、実際に業務を受託してからでないと申請できません。
申請後、実地調査があり許可審査が行われます。
申請から許可が出るまでは最低1カ月。
この間は労働者を配置できないし、最低賃金も減額できません。

しかし、入札期日は業務の始まる2週間前。
これでは許可が間に合わず労働者に業務を行わせることができません。。
※「実際の業務の詳細」は業務が始まってからでないと分からないので、業務が始まらなければ申請できない。
つまり、業務開始から許可が出るまでの1か月間は労働者に業務を行わせることができない。

この1か月間は「労働者でない」経営者が毎日業務を行わなければならないのです。
こんなことができるわけがないし、するはずがありません。

この入札期日は「断続的労働の適用除外許可なしの違法労働・人権侵害」を助長していることになるのです。

そして、
「断続的労働の適用除外許可申請は受注者が行うものだから津市は関知していません。
津市は受注者に許可書の提示を求めていません。」

これでは「違法労働・人権侵害の助長」ではなく「違法労働・人権侵害の黙認」ですね


⑥仕様書のあいまいな記載

上で取り上げたように仕様書には断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可の申請に必要な「実際の労働内容や実労働時間数・手待ち時間数」の記載がありません。

これはそれら許可の申請をしないこことを助長していると言えます。


以上のように「津市の調達方法は受注者の違法労働・人権侵害を助長するもの」となっています。
今までこのやり方で「問題なく」やれてきたのでしょう。

津市長からの回答


津市が「これほどまでに受注者の違法労働・人権侵害にアンタッチャブル」になるのはなぜでしょう。
「受注者の違法労働・人権侵害に触れると、違法労働前提の入札価格が上がり受注価格が高くなる」からでしょうか?
確かに落札価格は相場の半分以下ですが…。(2023年度落札価格)

しかし、その目的がなんであれ
「受注者が労働者に違法労働をさせているかどうか、労働者の人権を侵害しているかどうかについて関知しない」という津市の考え方に問題はないのでしょうか?

「自分の金をどう使おうが自分が法律に反しなければ自由だ」が資本主義の原則です。
しかし、最近では「企業の社会的責任」が求められ、
商品製造過程での違法労働や人権侵害に対して一定の社会的責任を負わされています。

津市も同じ責任を負わされているはずです。
しかも、一般企業と違って津市の活動原資は税金です。
税金は納税者の信託に反して使うことはできません。
納税者は「税金によって違法労働状態や人権侵害が生じること」を信託していません。
津市は受注者の違法労働や人権侵害に対して一般の企業より強い責任を負わなければならないはずです。

この点を考えていきましょう。



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