●断続的労働の適用除外許可・最低賃金の減額許可申請の実際



ある官公庁の宿日直業務を受注し2名を配置することになったので
断続的労働の適用除外許可申請と最低賃金の減額許可申請をしました。
必要書類やその書き方、許可が下りるまでの実際について書いておきます。

★最新の情報 ( 2024年度 ) については → こちら

1.基礎知識

a.断続的労働の適用除外許可

労基法では
・労働時間は8時間/日,40時間/週(労基法32条
・労働時間の途中に「45分/6時間超え・60分/8時間超え」の休憩(労基法34条
・これに反する労働契約は無効。契約は労基法の基準に引き上げられる(労基法13条
・使用者に罰則・6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(労基法119条

宿日直業務では労働時間が8時間より長く、
1ポストの場合は来訪者や電話対応,事故発生時の緊急対応があるため休憩は存在しません。

そこで宿日直業務を行わせるためには、
労基法の労働時間・休憩時間の適用を除外してもらう必要があります。(労基法41条)
そのためには、労働基準監督署からその業務についての適用除外許可をもらわなければなりません。
これが断続的労働の除外許可です。
正式には「断続的労働に従事する者に対する適用除外許可」。

この除外許可を得ないで宿日直業務を行わせると、8時間を超えた時点で労基法違反となります。
36協定(労基法36条)で逃げることはできますが、
書面による労使間協定や基準局への届出はクリアーできても時間数制限をクリアーできないでしょう。
36協定の時間数制限届出こちらも

なお、「断続的な宿直又は日直勤務許可(労働基準法施行規則23条)」は
従業員に本来の業務とは別に宿直・日直業務をさせる場合です。
許可基準も異なります。
※労働基準法施行規則23条
「使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、
   様式第十号によつて、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、
   これに従事する労働者を、法第三十二条の規定にかかわらず、使用することができる。」

b.最低賃金の減額許可

宿日直業務は手待ち時間が長く一般の労働に比べ労働強度が低くなります。
そこで、最低賃金を減額することが認められています。 (最低賃金法7条)
但し、労働者一人一人について労働局(窓口は監督署)に申請して減額許可をもらわなければなりません。
これが最低賃金の減額許可です。
正式には「断続的労働に従事する者の最低賃金の減額の特例許可」。

この減額許可がない場合は
「労働時間×最低賃金」を支払わなければならず(最賃法4条2項)、
それより安い賃金では
地域別最低賃金法に関しては50万円以下の罰金(最賃法40条
特定最低賃金に関しては,「労基法24条違反」として30万円以下の罰金(労基法120条)になります。

この罰則とは別に労働者には「通常賃金との差額」を支払わなければなりません。
但し、賃金請求の消滅時効が3年なので3年分だけです。
それでも、一人当たり500万円~800万円になります。 → こちら
※2020.04の労基法改正で消滅時効が2年から5年になり、経過措置として「当面の間は3年」になりました。

c.公契約条例からもペナルティ

官公庁から仕事を受注する場合は公契約条例が適用されます。
公契約条例は受注者の法令遵守義務を定め、
遵守すべき法令として労働基準法や最低賃金法を例示しています。

受注者が労働基準法や最低賃金法に違反した場合は
公契約条例違反・契約違反として契約解除や指名停止になる場合もあります。

もっとも、公契約条例は発注側の「言い訳・責任逃れ」で
実際には公契約条例が守られているかどうかを具体的に調べません。
そして、「最低落札価格」を定めず、零細警備業者に安売り競争をさせています。
つまり、安売り競争をさせるために
「公契約条例が守られていないことを知っていて知らぬふり」をしているのです。
公契約条例が守られ、労基法や最賃法が守られたら入札価格が上がり(適正になり),
安く受けさせられないからです。 → 公契約条例は底の抜けたバケツ

しかし、それが「労基法違反・最賃法違反の劣悪な労働環境を生み出している」ことを問題にされたら
自分の身を守るために手のひらを返したように公契約条例違反を持ち出してくるでしょう。

公共調達で宿日直業務を受注している警備会社さんは今からでも遅くはありません。
断続的労働の除外許可申請と最低賃金の減額許可申請をしておいてください。
発注側がその責任を追及されるのは時間の問題です。

えっ?「そんなことをしたら赤字になる」ですって?

どんな場合でも「法令遵守」、まずは適正価格で入札しましょう。
ハシゴを外されて困るのは我々ですよ。

※断続的労働と賃金計算については → 本頁2-b-ロこちらこちら
※公契約条例について → こちら

d.警備員が行う場合は許可基準が厳しい

※2022.08追記

民間の病院や介護施設が「宿直日直業務を行わせる者」を雇う場合も同様です。

しかし、警備業者が受注する宿日直業務のように具体的な許可基準は明らかにされていません。
個々のケースによって許可されるかどうかが決まります。

警備業者の行う警備業務には警備業法による制約と賠償責任が課せられているので、
許可基準を厳しくしているようです。

警備業者が警備員にやらせる場合の許可基準は
・巡回回数6回以内、1巡回の時間は1時間以内で合計4時間以内
・勤務中の夜間に継続4時間以上の睡眠時間が与えられるときは拘束時間は16時間以内。
・隔日勤務のときは拘束時間が24時間以内。巡回10回以内,1巡回1時間以内,合計7時間以内。
・勤務と勤務の間に8時間以上の休息期間が必要。
・休息期間に続けて24時間以上の休日が月に2回以上必要。
※詳しくは「労働基準法解釈総覧(厚生労働省労働基準局編)」で。

警備業者でない場合はこの許可基準は適用されないようです。
庁舎の宿日直業務について2022年に取得した断続的労働の適用除外許可書には
「実際に作業する時間の合計がいわゆる手待ち時間の合計よりも少なく
   かつ、実際に作業する時間の合計が8時間以内であること」と記載されていました。
これは24時間勤務の場合でしょうが、警備業者の行うものより基準が緩くなっているようです。
(警備業者の行う業務では24時間勤務で実働7時間まで)。

どこかの介護老人保健施設が「施設夜間当直員」として募集広告を入れていました。
「60歳以上の方も歓迎。17:00~翌9:00 / 実働 約7時間
この宿日直業務が警備業者の行うものであれば許可されませんが(16時間勤務なら実働4時間まで)、
そうでないので許可されるのでしょう。
それにしても実働時間が長すぎますネ。

こんな求人広告もありました。

有料道路の料金収受およびそれに付随する業務。
   8:40~翌9:10(実働16時間,休憩4時間30分,仮眠4時間」

・拘束23時間30分
・1ポストではないから「休憩4時間30分」と「仮眠4時間」は労働時間から差し引き。
・実働15時間。(広告の「実働16時間」は計算間違いでしょう)。

この労働については、実働時間が8時間を超えるので労基法違反が問題となります。

まず、36協定の範囲内であるかどうか。
36協定による残業の上限は
・原則 → 45時間/月,360時間/年
・臨時的な特別の事情があるとき → 720時間/年だけどこれは1年に6カ月まで。 → こちら
・だから、「上限を360時間/年」として考えます。

この勤務では「1勤務/実働15時間」だから「1勤務/7時間の残業」。
36協定の上限360時間/年で計算した「一年間に認められる勤務数」=360時間÷7時間=51.43勤務
1カ月に認めれる勤務は51.43勤務÷12=4.3勤務。
つまり、この勤務が月に4勤務なら36協定の範囲内、月に5勤務なら36協定の範囲外。
月給が19万円~21万円だから、4勤務なら1勤務当たり賃金は5万円。
こんな高給な仕事はあり得ないので、月に5勤務以上でしょう。
これは完全に36協定の範囲外。

36協定の範囲を超えるのなら断続的労働の適用除外許可が必要です。
しかし、「実働15時間」では許可が出ません。(上限実働8時間)
そもそも「有料道路の料金収受」は精神的負担が大きいので断続的労働と認められません

労働基準監督官にこの求人広告を見せたら。
『36協定の範囲内かどうか労働実態を調べてみないとなんとも言えませんが、
もし、断続的労働とするなら「実働15時間」で完全にアウトですよ。」
と笑っていました。

2.申請書類の書き方,添付文書

ここからは実際に申請書を作成していきます。
まず、申請書と記載例をダウンロードしてください。
・ 断続的労働の除外許可申請 → word pdf
・最低賃金の減額許可申請 → excelpdf記載例,※ダウンロードできないときはこちら
※労働基準法関係主要様式のダウンロードコーナー(厚生労働省) → こちら

a. 断続的労働の適用除外許可申請

・タイトル → 監視に消し線

・事業の種類 → 警備業
日本標準産業分類 : 大分類R/サービス業(他に分類されないもの)
   → 中分類92/その他の事業サービス → 小分類9231/警備業

・事業の名称 → 〇〇警備保障

・事業の所在地 → 〇〇警備保障の所在地(主たる営業所)

・監視の欄 → 空白

・断続的労働の欄
   業務の種類 → 〇〇庁舎の宿直・日直業務
   員数 → 〇〇名
   労働の態様 → 施設内巡回,開場・閉場業務,緊急対応

・使用者 → 職名と氏名、押印

・宛て名 → 〇〇労働基準監督署長 様
※最低賃金の減額許可申請の宛て名は〇〇労働局長

これで終わり。
実際に業務につく労働者の氏名や仕事の内容を説明する文書の添付は不要。
添付文書は最低賃金の減額許可申請の方で要求されます。
これは断続的労働の適用除外許可申請は最低賃金減額許可申請とセットでなされるからでしょう。
もし、断続的労働の適用除外許可申請だけを出すのなら添付文書が必要になるでしょう。
岡山労働局の添付資料

・2部作成
1部は受付印を押されて控えとして返却される。

b.最低賃金の減額許可申請

イ.各項目

以下の項目は記載例の注意に従って書けば問題ありません。

1.タイトル
・ 一人だけに対する許可申請 → 個人,同じ条件で複数人に対する許可申請 → 包括

2.事業の種類
・警備業(日本産業分類の小分類)

3.事業の名称
・〇〇警備保障

4.事業所の所在地
・〇〇警備保障の所在地
・実際に勤務させる施設の所在地を括弧書き
※ 警備業では事業所所在地と実際に働かせる所在地が違うが申請書がこれに対応していない。

5.減額の特例許可を受けようとする労働者
・個人の場合 → 氏名,性別,生年月日
・包括(複数名) → 〇〇名/別紙 (氏名,性別,成年月日を書いた名簿を添付する)

6.従事させようとする業務の種類
・〇〇庁舎の宿直・日直業務(詳細別紙)
・「記載例5頁」に詳しく書く

7.労働の態様
・施設内巡回,開場・閉場業務(詳細別紙)
・「記載例5頁」に詳しく書く

8.実作業時間数と手待ち時間数
・実作業時間数 → 〇〇時間〇〇分,手待ち時間数 → 〇〇時間〇〇分

9.減額の特例許可を必要とする理由など
・記載例通り

10.減額の特例許可を受けようとする最低賃金
・件名 → 〇〇県最低賃金、最低賃金額 → 〇〇〇円

11.支払おうとする賃金 → 次項

14.宛て先
・〇〇労働局長 様
・正しい名称を記載 → 例えば三重県なら「三重労働局長」

15.使用者
・職 → 〇〇警備保障の代表者の職名
・氏名 → 代表者氏名

ロ.支払おうとする賃金/金額・減額率

●例

・1ポスト,17:00~翌8:30,宿直業務
・A/所定定労働時間 → 15.5時間/930分(休憩なし)
・B/実労働時間 → 185分、C/手待ち時間 → 745分
・三重県最低賃金 → 874円
・日当 → 10300円

●減額できる率の上限(%)

・(手待ち時間×0.4)÷所定労働時間×100=745×0.4÷930×100≒32.04%
   ※%の小数点第3位以下切り捨て。
※手待ち時間は60%評価 → 40%を減額 → 所定労働時間1時間あたり何%減額したか。

●支払おうとする賃金/減額率

・実際の賃金は上の上限より低い減額率になる。
・記載例注意には「職務内容,成果,能力,経験を総合評価して減額率を決める」とされている。
   しかし、賃金は減額率を先に決めてからそれに基づいて賃金を算出するのではない。
   そこで、「12.支払おうとする賃金/減額率」は「上限減額率」としておけばよい。
・但し、減額率は%の小数点第第2位以下を切り捨て小数点第1位までとする。(注意書き)
・「12..支払おうとする賃金の減額率」 → 上限減額率 32.04% → 32.0%
   ※フォームに入力すると自動的に小数点第2位以下が切り捨てられる。

●支払おうとする賃金/金額

・最低賃金×(1-減額率)=874円×(1-0.32)=594.32≒595円
   ※1円未満の端数は切り上げる。★注意
・11.支払おうとする賃金/金額 → 595円以上
・D=支払う賃金の下限=595円

★注意
・パンフレットに「1円未満の端数は切り下げる」と書いてあるのは「最低賃金から減額する賃金」のことです。
・上例では「減額率=0.32」だから「最低賃金から減額する賃金=最低賃金×0.32=874円×0.32=279.68円」
・この「279.68円の1円未満の端数を切り捨てる」という意味です。
・だから、「最低賃金から減額する賃金=279円」 → 「減額された最低賃金=874円-279円=595円」。
・結局「減額された最低賃金=最低賃金×(1-減額率)=874円×(1-0.32)=594.32円」で
   「1円未満の端数を切り上げて、594.32円 → 595円」とすることと同じになります。

●日当計算

・日当の下限=(所定労働時間-深夜労働時間)×D+深夜労働時間×D×1.25
   =(15.5-7)×595+7×594×1.25=595円×17.25=10263.75円≒10264円
・実際の日当は10300円なので10264円以上となり「支払おうとする賃金/594円以上」となりOK。
   実際の日当10300円は記載不要。

●基準局がチェックするのは

・上限減額率の算出に間違いはないか。
・支払おうとする賃金の減額率が上限減額率を超えていないか。
・支払おうとする賃金の下限金額が減額率通りかだけ。
・「実際の賃金がいくらか,実際の減額率はどれだけか」には興味がない。

●13.支払おうとする賃金/理由

・記載例通りで可

●備考

・支払おうとする賃金/金額・減額率は受付担当者か計算し直すので空欄でもよい。
・所定労働時間数,実労働時間数,手待ち時間数を申告すればあとはやってくれる。

ハ.日によって所定労働時間と実労働時間が異なる場合

日によって所定労働時間,実労働時間,手待ち時間が異なる場合ばどうするのでしょうか?

宿日直業務では平日と休日でこれらが異なるのは通常です。
この場合は平日の減額率と休日の減額率の二つを申請するのでしょうか?

この点につき厚生労働省は次のように定めています。 → こちら
「日によって所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が異なる場合には、
   所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数が一律となる一定の期間 (例:1 週、1 箇月等) を特定し、
   その期間を平均して 1 日あたりの所定労働時間数、実作業時間数及び手待ち時間数を算出してください。」

つまり、平日と休日の所定労働時間,実労働時間,手待ち時間を平均して
所定労働時間,実労働時間,手待ち時間を算出し、それを基準に減額率を求めるのです。

要するに、許可する減額率は「労働態様の一つ一つに与えられる」のではなく、
「労働者の一人一人について与えられる」ものなのです。
考えてみれば「もっとも」です。

例えば

〇平日
・17:00~翌8:30,1ポスト
・A/所定定労働時間 → 15.5時間/930分(休憩なし)
・B/実労働時間 → 185分、C/手待ち時間 → 745分

〇休日
・8:30~翌8:30,1ポスト
・A/所定定労働時間 → 24時間/1440分(休憩なし)
・B/実労働時間 → 165分、C/手待ち時間 → 1275分

〇勤務(4週) ※24勤務が入るときは隔日勤務、さらに月に2日間休日が必要

××××××
×××××××

〇4週の勤務日数 : 13日 → 平日勤務10日、休日勤務3日
・1日の所定労働時間(平均)=4週の所定労働時間÷13日=(930×10+1440×3)÷13=1047.6923分≒1048分
・1日の実労働時間(平均)=4週の実労働時間÷13日=(185×10+165×3)÷13=180.38461≒181分
・1日の手待ち時間(平均)=1日の所定労働時間(平均)-1日の実労働時間(平均)=1048-181=867分
※厳密には祭日や年末年始の休日が入っていないので正確な平均にはなりません。
   祭日や年末年始の休日を入れるかどうかは監督署に任せましょう。

〇これで、減額率を計算
・減額率(%)=(手待ち時間×0.4÷所定労働時間)×100=(867分×0.4÷1048分)×100=33.0916 → 33.0%
・この減額率で平日の日当と休日の日当を決める。

〇支払おうとする賃金(減額時給)
・最低賃金×(1-減額率)=874円×(1-0.33)=585.58≒586円
   ※減額する賃金の1円未満の端数を切り捨て → 支払う賃金の1円未満の端数を切上げ。

〇日当
・日当=減額時間給×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)

・平日の日当=586円×(15.5+7×0.25)=586×17.25=10108.5円≒10109円
・休日の日当=586円×(24+7×0.25)=586×25.75=15089.5円≒15090円

・雇用条件通知書やハローワークの求人ではこの賃金を記載しておきましょう。

〇許可申請のときは要注意
・「通常は平日の隔日勤務で土曜,日曜は休み」。
   しかし、「場合によっては土曜,日曜も入ってもらわなければならないときがある」。
   「そんなときのために、土曜,日曜も入るようにして」最低賃金の減額許可申請をしよう。

・これを申請のときに素直に言うと:
   「“そんなとき” がどれくらいあるのか、データーを提出して欲しい」と言われます。
   その労働者について「所定労働時間,実労働時間,手待ち時間の正確な平均」を出すためです。
   そんなデーターなんか一年やってみなければ分かりません。
   ここは、本当のことを言わずに「いつも土曜,日曜に入る」として許可申請するのが得策です。

・しかし、「これは厳密には違法である」ことを頭に入れておかなければなりません。
   実際とは異なる勤務態様で許可申請をしているからです。
   ただし、それが問題となるのは「実際の賃金の減額率が許可された減額率より高く、
   実際に支払われた日当が許可された日当よりも安い場合」です。
   「実際に支払われた日当が許可された日当よりも高い場合」には問題になりません。
・そのためには、平日の減額率と休日の減額率を別々に算出して、平日の日当と休日の日当を算定し、
   それらを、許可された減額率から算定された平日の日当と休日の日当と比較して、
   「高い方を支払う」ようにしておけばよいでしょう。

上例の場合では

(平日)
・所定定労働時間 / 930分,実労働時間 / 185分,手待ち時間 / 745分
・減額率=(745×0.4)÷930×100≒32.0%
・減額時給=最低賃金×(1-減額率)=874円×(1-0.32)=594.32円≒595円
平日日当=減額時給×(15.5+7×0.25)=595×17.25=10263.75円≒10264円

(休日)
・所定定労働時間 / 1440分,実労働時間 / 165分,手待ち時間 / 1275分
・減額率=(1275×0.4)÷1440×100≒35.4%
・減額時給=最低賃金×(1-減額率)=874円×(1-0.354)=564.604円≒565円
休日日当=減額時給×(24+7×0.25)=565×25.75=14548.75円≒14549円

(平日と休日平均 / 許可されたもの)
・所定定労働時間 / 1048分,実労働時間 / 181分,手待ち時間 / 867分
・減額率=(857×0.4)÷1048×100≒33%
・減額時給=最低賃金×(1-減額率)=874円×(1-0.33)≒586円
平日日当=減額時給×(15.5+7×0.25)=586×17.25≒10109円
休日日当=減額時給×(24+7×0.25)=586×25.75≒15090円

これらを比較して、高い方の日当を支払っておけば結果として問題は生じません。
平日日当=10264円 (許可された減額率による日当=10109円)
休日日当=15090円 (許可された減額率による日当=15090円)

もちろん、問題となるのは「労働者が監督署に申告した場合」です。
そんなことは「まずありません」が「ないとも限りません」。
高い方を支払えば賃金経費は少し高くなるけれど「労働者の配置に余裕を持たせる」ことができます。

『めんどくさいなぁ~。許可申請なんかしない方が警備員を自由に配置できるよ…。』

「運転免許を取ると更新手続があってめんどうくさい。無免許の方がずっと楽」と同じですね。
しかし、減額許可を取っていないと、
警備員がこれを問題にしたら一人に500万円~800万円支払わなければなりません。 → こちら
10人雇っていれば 5千万円~8千万円ですよ。
さらに、基準法違反で最悪は懲役刑。
懲役刑になれば警備業者欠格事由で認定取消。
懲役刑を免れても、公安委員会の臨時立ち入りがあり「重箱の隅をつつかれて」営業停止。

警備員の仕返しや同業競争相手からの通報。
基準法違反をなめてはいけません。
断続的労働の適用除外許可と最低賃金の減額許可は必ず取っておきましょう。

もっとも、許可申請をすると今までの期間について「通常賃金との差額」(※注意)を支払わなければなりません。
このあたりは「労働者との話し合いによる一時金支払いと請求権放棄」で何とかなるかもしれません。
まずは、監督署に相談してみることです。
もっとも、「相談したらヤブヘビになる」かもしれません。
「どうしたらいいか」は自分で体験してみてください。

とにかく、できるだけ早く許可申請をするべきです。
「宿日直の賃金差額請求」が「過払い金返還請求」のように流行する前に。
『私は800万円戻ってきました』というテレビコマーシャルが流れる前に。

※注意
最低賃金の減額許可を得ていない場合は「8時間超えに対して25%増し」の通常賃金を支払わなければなりません。
支払わなければならないのは「最低賃金の減額許可の賃金-実際に支払った賃金」ではなく
「通常賃金-実際に支払った賃金」です。

賃金消滅時効が「今までの2年間」から「5年間(当面の間は3年間)」になりました。 → こちら
最低賃金の減額許可を得ていない場合、この5年間(当面は3年間)の賃金差額を支払わなければなりません。
上記の「500万円~800万円」というのは「時効を3年」とした場合の試算です。
「時効が5年」になったら、「一人に対して830万円~1330万円」を支払わなければならなくなります。

ニ.作成部数,添付資料

●作成部数

・2部作成
・1部は受付印を押されて控えとして返却される。

●添付資料

・労働条件通知書(実際の巡回時間帯や作業内容を書いたもので労働者の確認印のあるもの)
・記載例の「断続的労働の詳細について(参考例)」
・労働者の連絡先(電話番号)
・仕様書または契約書

●労働者の同意は不要

※マニュアルⅠ-7.許可と労働条件/P3
・減額特例の許可の効力は使用者が支払わなければならない最低賃金額を減額するものであるが、
   この許可を理由に一方的に賃金額を決定・変更することはできない。

・そのため、許可に伴っての賃金額の決定・変更に関する労使間のトラブルを未然に防止する観点から、
   許可申請に先立って、減額特例の許可申請を行うこと及び支払おうとする賃金額について、
   申請者から減額対象労働者又はその後見人等に対して説明するよう、申請者に求めること。

・なお、許可申請書には、減額対象労働者からの同意書等の添付まで求める必要はないこと。

・その上で、申請者には、許可の有無に関わらず、賃金額の決定・変更には労使間の合意が必要であることを説明すること。
・但し、上記説明をしなかったことを直接の理由として、許可の申請や許可を拒否することはできないことに留意すること。

c.実地調査

●巡回場所,仮眠施設などの確認

・労働環境が申請書通りか現場を確認に来る。
・巡回場所・巡回経路の確認。実際に経路を通って確認。
. 宿直施設の確認 . シフトの確認。
・シフト表,マニュアル,巡回経路の略図を準備しておくとよい。
・労働基準監督署の職員が行う。しっかりと時間をかけて行います。

●労働者への確認

・申請した内容と実際に食い違いはないか確認する。
・電話確認など簡単な方法による。

●最低賃金の減額許可申請の方は調査なし

以上で調査は終わりです。
断続的労働の除外許可申請は労働基準監督署、最低賃金の減額許可申請は労働局ですが
一体となっているので調査は労働基準監督署が行います。
基準監督署が行った調査でOKなら労働局へ最低賃金の減額許可申請が回されます。

d.「許可書の効力発生は許可のあった日から」に要注意

・「許可書の効力が申請日に遡って生じる」と誤解させる手続

断続的労働の適用除外許可でも最低賃金の減額許可でも実地調査があります。
その実地調査をしてもらうためには労働者を実際にその業務に従事させていなければなりません。
そして、「適用除外許可や最低賃金の減額許可の効力がいつから発生するか」について一切の説明がありません。

申請者(使用者)はどう思うでしょう?
「適用除外許可や最低賃金の減額許可は申請日に遡って効力を生じる」と思うはずです。

そうでなければ「適用除外許可の実地調査で労働者をその業務に従事させることは労基法違反となるから」です。
「厚生労働省が労基法違反になるような手続を作るはずがない」と思うからです。

しかし、「適用除外許可や減額許可は許可書が交付されたときから効力が発生します」。
「許可の効力は申請日に遡る,申請日に遡って許可される」というのは申請者(使用者)の誤解です。

それでは、申請時になぜ説明がないのでしょう。
それは、申請者(使用者)にそのように誤解させておくためです。
使用者が「許可の効力は許可書の出たときに発生し、申請日に遡らない」と知ってしまうと、
使用者は許可書が出るまで労働者をその業務に従事させないからです。
そして、そのために労働者の労働の機会を奪うことになるからです。

・許可書の文言の意味

許可書の文言も誤解させるようなものになっています。

例えば、申請日を令和3年6月1日、許可書の交付日(許可のあった日)を令和3年7月1日とすると、
最低賃金の減額許可書には次のように書かれています。

・許可書の日付 : 令和3年7月1日
・「2021年6月1日付けをもって最低賃金方第7条の規定に基づき申請のあった
   断続的労働に従事する者に対する最低賃金の減額の特例については、下記の附款を付し、次の通り許可する。」
・許可の有効期間は2021年7月1日から2022年4月30までとする。
・そして、許可書の効力発生時期について何の説明もありません。

「許可書が出る前に実地調査のためにその業務に労働者を従事させなければならないこと」と
「説明のないこと」そして「この文言」、
使用者は「2021年6月1日付けをもって……許可する」と考えてしまいます。

これも、「申請日に遡って許可された」と誤解させるための方法です。
そうしないと、「減額許可は許可書が交付されてから認められる、許可書が交付されるまでは減額されない賃金を払わなければならない」ということを使用者が知って、減額許可書が出るまで労働者をその業務に付けないからです。
そして、労働者の労働の機会がなくなるからです。

・最後の責任は使用者に押し付けられる

使用者が「申請日に遡って許可される」と誤解して、許可書が交付されるまでに適用除外されていない業務に労働者を従事させても、賃金を減額していても実際は問題になりません。
労働者も使用者と同じく「申請日に遡って許可される」と思っているので、それが労基法違反になったり最低賃金法違反になったりすることに気付かないからです。

当然、労基法違反や最低賃金法違反を摘発する労働基準監督署はこれらの法律違反を問題にしません。
誤解させたままにしておきたいからです。

ただし、労働者が気付いて減額されない賃金を要求したり、別の手続で問題になったりすると最後の責任は使用者に押し付けられます。
今まで「何の説明もせずに誤解させようとしていた」労働基準監督署は
手のひらを返したように「許可の効力は許可書がでたときから」と説明し減額されない賃金を支払わせます。

なお、「申請日に遡って許可される」と誤解していた使用者には労基法違反や最低賃金法違反は成立しません。
こちら
ただし、賃金は減額されない賃金を支払わなければなりません。

★以上について詳しくは → 断続的労働の適用除外許可,最低賃金の減額許可の効力発生時期


なお、同じ業務に同じ労働者を従事させる場合でも有効期間が過ぎたら許可を取り直さなければなりません。
この場合、またタイムラグが生じる恐れがあるので、早めに許可申請をしなければなりません。
実際には有効期間の切れる1カ月前に許可申請すればよいでしょう。
新しい許可は前の許可の効力が終わったときから発生します。
※「同一労働者についての許可の更新であって、許可書の決裁日が前回の許可期間内となる場合は、
前回の許可期間の満了日の翌日を起算日とすること。※Ⅴ-2-(9)-ア.許可の有効期間/P45

e.最低賃金が変更された場合

最低賃金が改定された場合は再度許可申請が必要でしょうか?

必要ありません。

最低賃金の減額許可のメインは「減額率」です。
最低賃金が改定されても「許可された減額率」は変わりません。
支払おうとする賃金の下限が「改定された最低賃金×(1-減額率)」になるだけです。

このことは許可書にも記載されています。
「ただし、最低賃金額が改定された場合は、改定後の額に減額率を乗じて得た額を
   当該改定後の最低賃金額から減じた額とする。
   なお、減額率、を乗じて得た額に1円未満の端数が生じた場合には、1円未満を切り捨てること。」
※1円未満を切り捨てるのは「最低賃金から減額する賃金」で「支払おうとする賃金」では切り上げになります。

このように最低賃金が改定(増額)された場合、
支払わなければならない賃金は許可された減額率が基準になります。
そのため、許可申請では「減額率をできるだけ高く(賃金をできるだけ低く)」申請した方が良いでしょう。
つまり、ギリギリの減額率(上限)で申請するということです。
上限減額率で許可を得ても、それ以上の賃金を支払うことはまったく問題がないのですから。

f.断続的労働と年次有給休暇

イ.法律の規定

労働基準法39条Ⅰ項は
「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」としています。

また、パートタイム労働者に対しては厚生労働省令で定められています(労働基準法39条Ⅲ項1号)。

この、厚生労働省令が見当たりませんが、
厚生労働省のパンフレットでは、労働者を二つに分けて有給休暇日数を定めています。→ こちら

①一般の労働者(週所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者、
又は1年間の所定労働日数が217日以上の労働者)

②週所定労働時間が30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下、
又は1年間の所定労働日数が48日から216日までの労働者」を区別して有給休暇日数を定めています。

このことから、労働基準法39条Ⅰ項の対象となる労働者とは
「週所定労働時間が30時間以上 or 所定労働日数が週5日以上の労働者」になります。

ロ.「所定労働時間」が30時間以上

断続的労働の場合、所定労働時間(拘束時間)には手待ち時間と実労働時間が含まれます。
ここで言う「所定労働時間30時間以上」をそのまま当てはめてもよいのでしょうか?

労働基準局に問い合わせたところ、
「断続的労働でも所定労働時間(拘束時間)が週30時間以上なら、有給休暇は労働基準法39条1項が適用される」
ということでした。

例えば、上の17時~翌8時半(所定労働時間15.5時間)の宿直勤務でいえば、
勤務が週2回以上になれば通常の労働者として、6カ月を過ぎたら有給休暇10日を与えなければなりません。

ハ.有給休暇10日とは

休暇として与えなければならないのは「10労働日」です。
この労働日とは何でしょう?
所定労働時間15.5時間の宿直勤務1回分でしょうか?

そうすると、週に2回宿直勤務をする者にの対して、宿直勤務10回分の有給休暇を与えなければなりません。
費用もそれだけかさみます。

ここで、労基法39条1項の「労働日」とは暦日計算によるもので
宿直1回分では暦をまたぐので「2労働日」として数えられます。 → こちら

つまり、この宿直勤務では宿直勤務5回分の有給休暇を与えればよいことになります。
これは労働基準監督署でも確認済みです。

3.実効性への疑問

●警備業界では法令違反が当たり前

私は以前勤めていた警備会社で上司から次のように指導されました。
『一人の隊員に有給休暇を取らせると皆が取るようになる。有休は取らせるな。』

次の警備会社では営業会議で社長が
『有休の “ゆ”を 口にした者はクビにしろ!』

この業界では
「文句を言った者,上司に逆らった者を 干す(仕事を与えない)」のは当たり前。
労基法や最賃法を持ち出したら働けなくなります。
そんな警備業界で断続的労働の除外許可申請や最低賃金減額許可申請が意味を持つのでしょうか?

●労働者が『その通りです!』で終わり

使用者がこう言います。
『監督署から問い合わせがあったら「その通りです」と答えておいてネ。』
これで問題は起こりません。
監督署もそれで責任を逃れます。それ以上の追及や調査はしません。

もし警備員が『違います』と答えれば
「キツイ現場」に回されたり,仕事を与えられなかったり,クビになったりします。
「資格や技能のない60歳超え・70歳超え」を雇ってくれるのは警備会社だけです。
収入がなくなれば少ない年金だけでは生きていけません。
それは警備員自身が一番よく知っています。

●そもそもほとんどの警備会社がこの許可申請をしていない

以上は警備会社が許可申請をした場合です。
そもそもこれらの許可申請をしていません。
「知っていて申請しない」場合もあるでしょうが、
「申請しなければ法令違反になることを知らない」場合がほとんどです。

許可申請をしなければ監督署の実地調査も労働者への問い合わせもありません。
監督署が自ら積極的に調べることばありません。

●発注側は「見て見ぬふり」

これは発注側も充分承知しています。
それは次のことから分かります。

〇発注される仕事が断続的労働として認められるかどうか分からない

断続的労働として認められるためには基準があります。
・巡回回数は 6回以内、一巡回の所要時間は1時間以内で合計4時間以内
・拘束時間は12時間以内、.勤務中の夜間に継続して4時間以上の睡眠ができるときは 16時間以内
・精神的緊張の大きい場所はダメ → こちら

しかし、発注者の示す仕様書には仕事の内容が具体的に書いてありません。
巡回回数は何回か,一回の巡回時間はどれだけか,巡回の合計時間はどれだけか,
連続してどれだけの仮眠時間がとれるのか,どのような仮眠場所があるのか…。
それらが具体的に示されていなければ、
受注する側は仕様書を見て「それが断続的労働として認められるかどうか」、
「許可申請をしないでその仕事をやらせたら労基法に反するかどうか」が分からないのです。

〇受注額(入札額)が見積もれない

さらに具体的な仕事内容が分からなければ実労働時間と手待ち時間が分かりません。
そのため、最低賃金の減額がいくら認められるのかが分からず、労働者の賃金を算定できません。
警備業は経費のほとんどが警備員に支払う賃金です。
労働者の賃金が算出できなければ受注額(入札額)の見積もりができないのです。

このように、発注側は発注する宿直・日直業務について
断続的労働の除外許可申請や最低賃金の減額許可申請を前提にしているとは言えないのです。
暗に「値段の安い方がいいから法令は無視していいよ…。」と言っているようです。

〇「最低落札価格なし」が法令違反・劣悪な労働環境を作っている。

当市(津市)の公共調達は「市内業者全員指名」です。
しかし「予定価格(最高落札価格)」はあっても「最低落札価格」がありません。
安ければ落札できて受注できます。

受注する警備会社は『警備員の生活を守るためには安くしてでも受注するしかない』
警備員は『生きていくためには給料が安くても仕事があればいい。』
結局、安売り競争となって法令違反・劣悪な労働環境がまかり通ってしまいます。

発注側は
『安く受けたのはそちらの責任ですよ!』。
さらに、
『言っときますが、談合や連合をしたら指名停止ですからネ。』
『もちろん労基法・最賃法違反はダメですよ。契約解除ですからネ。』

これで逃げられると思っているのです。
彼らは「最低落札価格なし」で安く受注させ市民の税金を節約したと思っています。
しかし、それが実際には法令違反や劣悪な労働環境を造り出し
憲法で保障された国民の基本的人権を害していることに気付いていないのです。
いや、気付いてはいるけど「気付いていないふりをしている」のでしょう。

彼らは下請けに不利益を押し付けて利益をむさぼる大企業と同じなのです。

〇一年ごとの入札で安値競争をあおる

だめ押しが「契約期間は一年間」で毎年入札をして落札者を決める。
毎年毎年安売り競争をさせて、受注額をどんどん下げようとしているのです。
本当にエグイと思いませんか?

●どうすればいいのか

・監督署は積極的に動かない。
・発注者は見て見ぬふりで責任逃れ。
・受注者(警備会社)は自分と労働者の生活を守るために安くして受ける。
・労働者(警備員)は生きていくために法令違反や劣悪な労働環境を我慢する。
・市会議員は票につながる地元の要求や実現不可能なパフォーマンス。

解決策ただ一つ

・警備員一人一人が声を上げること。
   宿直・日直業務をやっている警備員に監督署から問い合わせがなければ
   使用者は最低賃金の減額許可を申請していません。
※断続的労働の除外許可はその業務に対するものだから
   一度許可が下りたら労働者に業務の実態を問い合わせることはありません。
   しかし、最低賃金の減額許可は労働者一人一人に対するものだから必ず問い合わせがあります。
   監督署からの問い合わせがなければ少なくとも最低賃金の減額許可は申請していません。

最低賃金の減額許可申請をしていないのなら、
賃金は「手待ち時間や仮眠時間を含む労働時間×最低賃金+8時間を超えた分×25%」です。
賃金がこれより安ければ使用者は最低賃金法違反で50万円以下の罰金です。
多分、断続的労働の除外許可申請もしていないでしょうから
8時間を超えた時点で労働基準法違反となり、使用者は 6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金。

さらに、その仕事が公共調達によるものなら公契約条例違反で契約解除や指名停止となります。

もちろん、適正賃金との差額は支払ってもらえます。
だいたい300万円~500万円になります。
手数料、申請は一切不要。基準監督署が調べてくれます。

監督署への問い合わせは簡単です。
『市庁舎の宿直・日直業務を行っている警備員です。
   私の会社は断続的労働の許可や最低賃金の減額許可を受けていますか?』

労働者からの問い合わせがあれば監督署は動かざるを得ません。
警備会社は「労基法・最賃法違反の罰則」と「賃金差額支払い一人300万円~500万円」のダブルパンチで
許可申請をします。

すると来年度から使用者(警備業者)は法令違反のない適正価格で入札するようになります。
そして、「最低落札価格なし」でも適正価格で落札されるようになり、
警備員の賃金が普通のレベルに近づいていきます。

同業者として警備会社にはチョット酷な気がしますが、
こうでもしなければ、警備員の違法・劣悪労働環境を生じさせる負のスパイラルは切断されないのです。

自分が声を上げなければ、いつまでたっても自分の違法労働・違法賃金は変わらないのです。 → こちら



タイトルとURLをコピーしました